一般的なストレッチや体操では同じ動作を行うのは数回程度ですが、循環系ストレッチでは同じような動作を数十回は繰り返します。じつはこれも、優れた効果を生む秘密の一つです。多くのエクササイズで同じ動作をたくさん繰り返さないのは、運動の苦手な人に飽きずに実践してもらいたいからでしょう。私がめざしたのは、最低限の時間で最低限の回数を実践するだけで、ある意味「薬よりも体に効く」エクササイズです。
循環系ストレッチで狙うのは「動きが激減した部位」「血管の集中する部位」で、そこの血流を短時間で増やすには、同じような動作を続けて、血管まわりの筋肉の緊張・弛緩を繰り返す以外ありません。血流を抑える(緊張)ことで血液を集め、そこから一気に流す(弛緩)ポンプ作用により、滞っていた血流に勢いがつくからです。そうすると体が温まって筋肉を包む筋膜もやわらかくなり、筋肉はさらに伸び縮みしやすくなります。だから循環系ストレッチは、短時間で血流も柔軟性も上がるのです。
肩と肩甲骨まわりの血流アップ
「ぬぎストレッチ」
肩甲骨を大きく回す動きと、下半身の大筋群を使うスクワットを組み合わせました。肩まわりの小さい筋肉を皮切りに徐々に体を大きく動かしていき、最後は足首、ふくらはぎから血液やリンパを流します。上半身のターゲットは、日常生活で動きの小さくなった肩と肩甲骨まわり。脂肪を燃焼させる褐色脂肪細胞が集まる部位なので、あっというまに体が温まるのを実感できます。
下半身はひざの曲げ伸ばしを徐々に深めつつ、下肢の筋肉のポンプ作用を働かせます。徐々に動かす筋肉の範囲を増やしながら、上から下へ、下から上へとグルグルと巡るサイクルを促すのです。
中野ジェームズ修一 著、田畑尚吾 監修