先ほど、不安なイメージと行動がセットになることで生活に支障が出ますとお伝えしました。
 なぜこの2つがセットになってしまうのかというと、不安なイメージが行動することによって消えるからなのです。

 だから、不安なイメージを消すために確認行動をとります。

確認行動をやめるのは
意外に難しい…

 確認行動をとることで、いったん不安は消えますが、また不安が出た時には確認行動をとってしまいます。
 不安を消すための唯一の手段が、確認行動だからです。

 このような負のループから抜け出すためには、次のような状態にもっていかなければいけません。

 ①不安なイメージが浮かぶ
 ②不安でいてもたってもいられなくなる
 ③確認しない(行動しない)
 ④「②」をはるかに超える不安や恐怖を感じるが、それでもなんとか耐える
 ⑤不安なイメージが浮かばなくなったり、不安なイメージが浮かんでも、確認しないで済むようになる

 ④の状態を耐えられるようになれば、日常生活に支障をきたさないレベルの「気になる」に変化していきます。
 気になりすぎることは減り、気になったとしても確認行動をせずに済むようになります。

 ……なのですが、この段階がとにかく難しいのです。不安やパニックなどの症状が強く出る場合には、薬が処方されることもあります。

 このようなことをお伝えしたのは、あなたを不安にさせるためでもなければ、難しいからあきらめましょうと提案するためでもありません。
 それほど克服が難しい状態なのだ、ということを知ってほしかったからなのです。

 このことを知らないせいで、必要以上に自分を責めてしまったり、身近な人から責められたりして辛い思いをする人をたくさん見てきたからこそ、あなたに知ってほしかったのです。

そんな記憶が
原因だったとは…

 確認行動がやめられない場合にはまず、何に対して不安や恐怖を感じているのかを自分自身が理解する必要があります。

 Tさんの場合は、「泥棒が家に入ること」「家の中のものを盗まれてしまうこと」「家に帰った時に知らない人がいるリスク」の3つが挙げられました。

 子どもの頃にニュースか何かで見聞きした、「鍵の閉め忘れで泥棒が家に入り、家の中はめちゃくちゃ。たまたま帰宅後に鉢合わせした住人が、犯人にけがを負わされてしまった」という恐怖のイメージがとても強烈に焼き付いていたのです。

 何に不安や恐怖を感じているのかが理解できたら、自分の確認行動について書き出していきます。
 そのうえで、どうすれば確認行動が1~2回で済ませられるかについて考えていきます。

 Tさんの場合は、「鍵を閉めたか何度も確認する」でした。

 鍵を閉めたかどうかに不安や恐怖を感じて確認しに戻ってしまう場合には、「鍵を閉めた」と納得できる材料があれば、何度も確認せずに済む可能性があります。