冷たすぎる水風呂に入ると血圧が急上昇
「② 水風呂」のステップで第一にお伝えしたいのは、「冷たすぎる水風呂には入らない」ということです。
通常、17℃前後の水風呂が、人体にとって適温だとされています。なぜなら、「トリップ(TRP)チャネル」と呼ばれる体の温度センサーが、15~16℃以下の温度を検知すると危険信号を発して、血圧が急上昇してしまうからです。これは、サウナの熟練度とは関係なく、全ての人間に共通のメカニズムです。
また、水風呂に入る時間は、20秒から1分程度が適切です。これは、血液が体を一巡するのにだいたいこのぐらいの時間が必要だからです。
中には、長めに水風呂に浸かる方もいますが、それはサウナの「時代性」が関係しています。
2019年ごろから火がついたサウナブームよりもずっと前から営業していた「昔ながらのサウナ施設」の水風呂は、基本的には冷却装置がなく水道水そのままで、いまほど冷たくありませんでした。そのような施設では夏だと、水温が20℃超えになることも普通にあります。
この場合、体がすぐには冷却されないので、必然的に水風呂に長く入る必要があったんです。しかも、ぬるめの水風呂にゆっくりと浸かることで、「休憩」を兼ねることもできました。
つまり、「水風呂⇒休憩」のプロセスを、水風呂の中で完結させていたということです。なので、外気浴をスキップして、水風呂から直接サウナに戻るのは、古い時代からのサウナ愛好者のスタイルといえます。
ただし、近年できた新しい施設では「チラー」という冷却装置が水風呂についていることが多く、昔より水温が低く設定されています。冷たい水風呂に長居をするのは負荷が大きいので、施設ごとに入る時間を調節してください。
ちなみに、冷たい水風呂が苦手な人は、息を止めて我慢しながら入りがちですが、血圧が上がってしまうのでやめましょう。息を止めずに息をゆっくり吐き続けながら入ることが大切です。
水風呂から出た直後の「2分間」が大事
「③ 外気浴」をするうえで知っておいてほしいのは、水風呂を出てからの「最初の2分」が「ととのう」時間帯だということ。この2分間を大事にしてサウナを楽しんでいただきたいです。
しかし、水風呂と外気浴の場所が離れていると、この貴重な2分が歩くことに消費されてしまいます。なので、動線がいい施設を選ぶことがかなり重要です。
また、かりに動線がよくても、施設が混雑していると、サウナから出たときに水風呂が満員だったり、休憩スペースに席がなかったりしてうろうろする時間が長くなってしまいます。個人的には、各スペースの空き状況が視認できる施設がおすすめです。
「朝ウナ」の要注意ポイント
サウナ上級者の間では、仕事前や休日の朝に入る「朝ウナ」への関心も高いと思います。「朝ウナ」でありがちな失敗は、「①サウナ⇒②水風呂⇒③外気浴」を3セットすべてこなしてしまうパターンです。
朝から何セットも繰り返してしまうと、サウナ直後はすごく気持ちいいのですが、2~3時間後の昼前ぐらいに猛烈な眠気に襲われます。
サウナで大事なのは、「深部体温のコントロール」。朝から深部体温を1~2℃上げてしまうと、そのあと深部体温が下がったときに眠くなるのは当たり前です。
なので、「朝ウナ」の場合は、深部体温が変化しない程度に軽めの1セット、体の表面に刺激を与えるくらいの感覚で入るのがおすすめです。適度に入れば、日中の疲労感が低くなって快適に過ごせますよ。
(本稿は、ダイヤモンド社「The Salon」主催『究極にととのう サウナ大全』刊行記念セミナーで寄せられた質問への、著者・加藤容崇氏の回答です。「The Salon」の公式X(旧Twitter)はこちら)