静かだが高性能を感じる絶妙サウンド
走りは上質さが際立つチューニング
VR38DETT型エンジンを始動する。アイドリング状態ですでに従来よりも明らかに音量が小さくなっていた。570ps/6800rpm、637Nm/3300~5800rpmの最高出力と最大トルクを維持しながらも、走行時の不要なノイズと振動を低減した新構造マフラーの効果だ。メーカーは“綿密に調律された感性に響く、迫力ある新たなGT-Rサウンド”と表現しているが、まさにそれだ。印象をひとことで表現すると、“絶妙”がふさわしい。
これまでの車内に響く低い音も嫌いではなかった。クルマの性能は音で感じる部分もある。オリジナルのままそれなりに大きな音が聞こえるGT-Rは、音と走りのキャラクターがよくマッチしていたように思う。
それが、確実に静かになったのである。物足りなさを感じてもおかしくはない。ところが2024年モデルは音量を抑えつつも、アクセルを踏み込んだときには、加速に合わせてサウンドが盛り上がっていく。このあたりの調律は、“絶妙”。高性能車に乗っている感覚がきちんと味わえる。このサウンドチューニングは素晴らしい。
一方、全体的に静かになった結果、早朝や深夜の住宅街でも迷惑をかけなくなったのは確かだ。静かになってありがたいという人は少なくないと思う。
エンジンについて報告しよう。ここ何年か変更は伝えられていないのだが、乗るたびにフィーリングが向上している。2022年モデルでは、それまでよりもパワー感が増し、低回転域から伸びやかに加速するように感じた。2024年モデルは音の変化もあってか、吹き上がりが一段と滑らかになった印象が強い。
走りに特化したRモードを選ぶと、すべての隙間=ラグがなくなり、走りの一体感がさらに増す。Rモードは攻めて走るときだけでなく、公道を普通に走るにも向いているように思えた。
フットワークも絶妙である。2022年モデルのT-specに乗ったときにも感心したものだが、2024年モデルはいっそう洗練されていた。空力性能の向上は伝えられているものの、それだけでこんなに変わるとは思えない。