出版点数は1100冊を突破し、ギネス級に著書を世に出し続ける中谷彰宏氏が、「もう一歩のひと言」を「好かれるひと言」にかえる“言いかえ例”を紹介。今回は部下の【モチベーションをあげる】【会議に使える】【ダメ出し方法】【ほめ方】の項目に沿って分かりやすく解説する。本稿は、中谷彰宏『好かれる人の言いかえ』(リベラル社)の一部を抜粋・編集したものです。
部下のやる気を削がない!
モチベーションをあげる言いかた
「行け、行け」
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「行こう、行こう」
腰の重い部下が仕事をやる気になってくれた時、「よし、その調子だ。行け、行け」と言うと、自分と相手が別物になります。
私は集中豪雨の影響で、新幹線「のぞみ」に20時間閉じ込められました。20時間後に動き始めた時、私の心の中での叫びは、「行こう、行こう」でした。
「行け、行け」と思うと、他者である新幹線に怒りが込み上げてきます。それよりは、「よっしゃー、のぞみもつらかったよね。行こう、行こう」という気持ちを持つことです。
言葉1つで、相手と一体になることもできれば、相手と壁をつくることもできるのです。
「君たちは」
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「私たちは」
リーダーに「君たちは」と言われると、「え、リーダーは入っていないの?」と思います。危機を乗り越えなければならない時も、「僕たち、気が緩んでる」と言われた方が嬉しいです。
「君たちは、なんとかしなくちゃいけない」では、モチベーションがドンと下がります。チームワークや一体感があることで、モチベーションが湧いてきます。
「君たちは」と言うと、「責任をこっちに押しつけてくるぞ。この人にはついていけないな」と思われます。
見くだされて、うれしい人はいません。一体感があると、一緒に考えようという気持ちになるのです。
「うまくいくと信じてるよ」
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「あなたを信じてます」
「うまくいくと信じてるよ」と言う人は、相手を信じていません。その裏に、「うまくいかなかったら責任とってね」という意味が含まれます。
「モノや成果」を信じるのか、「その人間自身」を信じるのかは、言葉でわかります。信じている人は、したことがうまくいかなくても、また信じます。存在そのものを信じているからです。
神様を信じる人は、「神様がいいことをしてくれたら信じるけれども、イヤなことをされたら信じないからね」とは考えないのです。
「どこ行くの?」
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「気をつけて」
部下が出かける時、「行ってらっしゃい」に続く言葉は、「どこ行くの?」「誰と?」「何しに?」「何時に戻る?」という5W1Hの質問が多いのです。事務的なやりとりは、すべて確認です。これは、監視です。ここに感情はまったく入っていません。
ひと言、「気をつけてね」と言うことで、思いやりの言葉になります。確認・監視の言葉は、思いやりの言葉に言いかえた方がいいのです。