いすゞとホンダは、20年1月にFC大型トラックの共同研究契約を締結しており、FC大型トラックの適合性検証や車両制御などの基盤技術の構築を進めてきた。今年度中にモニター車を使った公道実証実験を行い、27年をめどに量産車両の市場導入を予定している。ホンダの燃料電池車技術を大型トラックで活用すべく、いすゞと協業するということだ。

 また、ホンダは国内において軽商用車からEVの量販を計画する中、ヤマト運輸と協業を行い、交換式電池を使った軽商用EVの実用化に向けて実証実験を進めている。

 主にバイク用として使用しているホンダの交換式電池を軽商用車に搭載する考えだ。充電済みの電池に交換すれば充電時間を省け、配送効率を高められる。交換式電池は充電器よりもインフラ整備が容易なため、新興国で普及しており、日本でも実用化に向けた動きが広がってきている。

 ホンダは、軽商用車「N-VAN」にこの交換式電池を搭載したモデル車をジャパンモビリティショーで展示する予定だ。

 さらに、ジャパンモビリティショーには、ホンダとソニーグループが折半出資するソニー・ホンダモビリティが開発するEV「AFEELA(アフィーラ)」も、日本で初めて一般公開される。ジャパンモビリティショーは、さながらホンダの「提携見本市」のようだ。

 同車はソフト開発を駆使した、いわば「走るスマホ」であり、26年からホンダ北米工場で生産開始、26年春から北米、26年後半には日本で納車が始まる予定だ。トップクラスの企業がタッグを組んで開発した商品だけに、市場がどう反応するか注目だ。

 このようにホンダは三部体制への移行後、多様な提携・協業への経営転換を一気に進めている。かつてホンダは、外部提携に頼らず、自主・自立経営を一貫する姿勢が目立ってきた。過去に米フォード車のホンダ国内販売提携などもありはしたが、英ローバーグループとの提携解消が「トラウマ」となって90年代末の世界自動車大再編の時期にも「自主独立路線」を貫いた経緯がある。

 日本の乗用車系メーカーがトヨタグループと、仏ルノーと提携する日産・三菱自動車に、独立派のホンダの3つに大きく分かれてきた構図が続いてきたが、多様な提携経営に転換したホンダがこれらをどう実らせて生き抜いていくか、注目されよう。

(佃モビリティ総研代表・NEXT MOBILITY主筆 佃 義夫)