スマートフォンのカメラやデジタルカメラに用いられるイメージセンサーで世界シェアトップをひた走るソニーグループ。イメージセンサーの需要は一段と拡大しており、ソニーが今のペースで増産を続けていけば、次期中期計画の3年間(2024~26年)で設備投資額が1兆円を突破するのは確実な情勢だ。ところが、米アップルに依存した現状のビジネスモデルは危険をはらんでいる。特集『半導体 最後の賭け』の#6では、各種データや関係者の話から見えてきた「アップル依存」解消の鍵に迫る。ソニーが手を組むホンダは、ソニーのイメージセンサー事業“第二の柱”となれるのだろうか。(ダイヤモンド編集部 今枝翔太郎)
ソニーがイメージセンサーで1兆円超えの設備投資か
脱・アップル依存の鍵はホンダ?
「イメージセンサー市場の中長期的な成長を見込み、生産能力拡大に向けた検討は常に行っている」
今年2月2日、ソニーグループ次期社長就任が内定している十時裕樹副社長兼CFO(最高財務責任者)は、2022年度第3四半期業績説明会の中でそう語った。
イメージセンサーとは、レンズから入った光を電気信号に変換する半導体のことだ。詳細は次ページで述べるが、イメージセンサーで現在主流となっているCMOSセンサーの世界シェアで、ソニーは独走状態にある。しかも、今後の設備投資で競合他社をさらに突き放そうとしており、その規模が次期中期計画で1兆円を超えることが確実視されているのだ。
ところが、ソニーのイメージセンサー事業は米アップルに依存しており、決して安泰ではない。ソニー自身もその危険性を承知していて、“第二の柱”育成のためにさまざまな手を講じている。その一つが自動車、特に電気自動車(EV)用途であり、ソニーと手を組むホンダに期待される役割は小さくない。
次ページでは、各種データや関係者の話から見えてきた「アップル依存」解消の鍵に迫る。ホンダは、ソニーのイメージセンサー事業“第二の柱”になれるのだろうか。