家計に余裕があれば「あえて限度額認定証を使わない」
もあり、カードのポイント稼ぎに活用

●ケース3
 大きな病気をして高額な医療費がかかったが、家計には余裕がある

 ⇒ あえて限度額適用認定証を使わずにカード決済でポイントをためる!

 国立病院機構や大学病院、病床数の多い民間病院など規模の大きな病院だけではなく、最近では個人クリニックでも、医療費の支払いにクレジットカードが利用できるところが増えている。

 大きな病気やケガをして医療費が高額になると、限度額適用認定証を使って高額療養費が適用されても、自己負担額は10万~20万円など、まとまった金額になる。この医療費の支払いをカード決済にすれば、その分、ポイントがためられて家計に還元できる。

 さらに、家計に余裕があるなら、あえて限度額適用認定証は使わないという手もある。医療機関の窓口では通常の自己負担分の3割を支払えば、その分のポイントがためられるからだ。たとえば、自己負担額が30万円で、1%還元のカードなら3000円分、0.5%還元のカードなら1500円分のポイントがためられる。

 いったん、クレジットカードで医療費の支払いをした後で、健康保険組合に高額療養費の申請をすれば、カード決済したお金との差額は取り戻すことができる。

 高額療養費の限度額適用認定証は、家計から持ち出しを抑えられるので、非常にありがたいアイテムだ。だが、家計に余裕があり、高額療養費の還付金が戻るまでの間、生活に困らないだけの預貯金があるなら、カード決済でポイントをためるという方法もある。

 総務省の「消費者物価指数」によると、2023年9月分の総合指数は、2000年の平均を100とすると、106.2まで上昇している。1年前(2022年9月)の103.1と比べても、3.1ポイントの上昇だ。さらに、この10月は、酒類・飲料、加工食品などの値上げも行われ、コロナ禍以降、相変わらず家計の厳しさが続いている。

 高額療養費は、病気やケガをしたときの負担を抑えられる制度だが、ここで見てきたように、自分で申請しないとお金を取り戻せないケースもある。家計の厳しさが一段と増している今、病気やケガをしたときの医療費に備えて、高額療養費の裏ワザも覚えておきたい。

【訂正】記事初出時より以下のように改めました。
37段落目:
自己負担額が30万円で、1%還元のカードなら3万円分、0.5%還元のカードなら1万5000円分のポイントがためられる。
→自己負担額が30万円で、1%還元のカードなら3000円分、0.5%還元のカードなら1500円分のポイントがためられる。
(2023年10月30日19:08 ダイヤモンド編集部)