ど素人でも腑に落ちる現代アートの鑑賞法、ウォーホルを知らなくても大丈夫現代アートは難しくない⁉︎ (写真はイメージです) Photo:PIXTA

日本各地で開催されている「芸術祭」。地域の文化とアートが融合して街全体を盛り上げるエンターテインメントが、ますます盛り上がりを見せている。(フリーライター 東野りか)

能登半島の”さいはて”で開催される
芸術祭を訪問

 日本各地で開催されている「芸術祭」は、大小合わせると現在100ほどあるといわれる。地域の伝統や文化と現代アートを融合させた芸術祭は、多くは3年おき、または2年おきに開かれる。来訪者にアート作品を堪能してもらうのはもちろん、地域を活性化させるという目的がある。

 地方の芸術祭といえば、新潟県十日町市・津南町の「越後妻有 大地の芸術祭」(2000年〜)や、瀬戸内海の島々や周辺の港を中心とする「瀬戸内国際芸術祭」(2010年〜)などが有名。芸術祭の開催により、人口減少で過疎化した市や島の知名度が一気に上がり、多くの人が訪れる人気の観光スポットとなった。

 しかし、なかには「現代アートなんて難しい。芸術に詳しい人でないと楽しめないのでは?」と、拒否感を示す人もいるだろう。確かに前述のメジャーな芸術祭は、それなりにアートの知識があった方がより楽しめるのは否めない。

 その一方で、ほとんど知識無しでも満喫できる芸術祭もある。そんな芸術祭の一つである、石川県珠洲(すず)市全域が舞台の「奥能登国際芸術祭」に訪れた。2017年から始まり、今回が3回目の開催だ。

 能登半島の突端である奥能登国際芸術祭は、別名“さいはての芸術祭”と呼ばれる。その名の通り、能登半島の最果ての自治体で開催されるので、とにかく交通の便が悪い。空の便でたどり着くには、能登空港という小さな空港を使うことになるが、羽田空港から1日2便のみしか飛行機が飛んでいない。

 さらに空港から珠洲市中心部までバスで50分ほどかかる。または県庁所在地の金沢から車やバスで約2時間半と、気軽にふらっと行けない場所であることが、“さいはて”の理由だ。

 だが、簡単にアクセスできない辺境の地だからこそ、独自の文化が今もしっかり残る。地元固有の文化とアートが見事に溶け合っているのだ。