心身ともにボロボロになるまで働いてしまう。「こんなにだらけていいのだろうか」と理由のない焦りが湧いてきてしまい、休日も気が休まらない。常に気が張ってストレスが蓄積したままだと、心がポキッと折れてしまうこともあるだろう。
そんな人に試してほしいのが、『悪いのは、あなたじゃない』に書かれている「心の傷」を癒す方法だ。著者は、SNSで大人気の心理カウンセラー・Pocheさん。人間関係、親子問題、アダルトチルドレン(AC)を専門とするPocheさんのもとには、日々さまざまな人たちからの切実な悩める声が寄せられているという。
本書では、実際のカウンセリング事例をもとに、実は意外なところに存在していた悩みの原因をつきとめ、解決へと導いていくプロセスが解説されている。本連載では、そんな本書から、必要以上に自分を責めてしまうクセをほぐすヒントを学ぶ。今回のテーマは、「限界になるまで働いてしまう人の特徴」という悩みだ。(構成:川代紗生)
「限界になるまで働いてしまう人」の危うい特徴
限界になるまで働き、あるとき急に心がぽっきりと折れてしまう。疲れが溜まっていても、体調を崩しても、何も予定がなくても、働かないと気が休まらない。
そんな焦燥感に駆られている人は、無意識のうちに、自分に対して「休んではいけない」というブレーキをかけていることがあると、心理カウンセラーのPocheさんは語る。
もちろん、「休まない」こと自体がダメなのではない。仕事や趣味、友人との交流など、アクティブに動き回ることでエネルギーを回復する人もいる。忙しい毎日のほうが充実感を得られるという場合もあるだろう。
ただし問題なのは、「休みたい」という気持ちがあるにもかかわらず、リラックスできない場合だ。まだ締め切りまでずいぶん時間があるのに自宅で作業してしまったり、自分がやらなくてもいい仕事まで引き受けてしまったり……。
このように、仕事のプレッシャーを忘れられないという人は、どうすれば休めるようになるのだろうか。
「自分を追い詰めすぎていないか」を見極める質問
本書によると、まずは「休んではいけない」とブレーキをかけている原因を見つける必要があるという。
その原因を見極めるための方法がある。次の言葉を、ぜひ、声に出して言ってみてほしい。
・私は、休んでもいい
・私は、遊んでいてもいい
・私は、これ以上頑張らなくてもいい
・私は、遊んでからやるべきことをしてもいい
いかがだろうか。「そうだよね」と納得できただろうか。それとも、「いや、そんなことない。それは綺麗事だ」と反論したくなっただろうか。
「休んではいけない」というブレーキを探す上で重要なのは、どの言葉を言ったとき、反論したい気持ちになったかだとPocheさんは言う。
休むことや楽しむことを子どもの頃に封じられている場合は、休むことや楽しむことに罪悪感を抱きます。休んでいる時に、「こんなことをしていていいのか」「ダメな人間になるのでは」と焦りや不安が出やすいです。
「100%自分が悪い」とはかぎらない
私も「そうは言っても、自分がダメ人間なのは事実。こんなに劣っている人間が休んでいいはずがない」と、自分自身に対して許可を出すことができないタイプだった。
けれど、本書の「はじめに」に書かれているこの言葉を読んだとき、考えが変わった。
そう、「すべての責任が私にあるわけではない」ときちんと納得すること。それが、このプレッシャーから解放されるためには必要なのだと気がついたのだ。
「普通の人は、この程度の経験を、大人になるまで引きずったりしない」
「私の心が弱いだけ。子ども時代の出来事が原因だなんて、言い訳だ」
責任感が強く、真面目な人ほどそう考えてしまうだろう。だが、気がついてほしい。そういった考え方を、あなたは捨ててもいいのだ。
人の心は、さまざまな経験に基づいて形成される。どんな場所で育ったか、どんな学校に通ったか、学生時代に何をしたか、どんな人間関係を築いたか、仕事でどんな成功・失敗をしたか……。さまざまな要因によって「現在の自分」が成り立っている。
たしかに何%かは自分のせいかもしれない。だが、「100%自分のせい」ということはありえないのだと、私は本書を読んで納得することができた。
「休んでいい」と思えるようになる1つの方法
「休んでいい」と自分に許可を出すことに慣れないうちは、無理やり休んでしまう方法もあるとPocheさんは綴っている。
スケジュールに組み込んでしまえば、休みは予定に変わります。「予定をこなした」と捉え直すことで、休むことへの罪悪感は減らせます。
これまで過去の何かのせいで「休んではいけない」「頑張らなくてはいけない」と頑張り続けてきたあなたに、「休んでいいよ」と許可を出してあげられるのは、あなただけです。(P.195-196)
カレンダーに「12時まで布団から出ない」「ずっとスマホをいじってゴロゴロする」「YouTubeを見続ける」と具体的に入力してしまってもいいだろう。
それをこなすことができたら、「タスク完了」と斜線を引いていくのだ。
「休んでも意外と大丈夫だった」「休んだ方がよかった」という成功体験をちょっとずつ積み重ねていけば、いつしか心もほぐれていくはずだ。