ウォーキングは体にいい。それはたしかに事実です。でも実は「ただ歩くだけ」では効果が出にくいことをご存じでしょうか。同じ歩くなら「科学的な歩き方」で「最大効果」を手に入れる。ここを目指したいものです。そこで本連載では論文マニアとしても有名な大谷義夫先生(医師)が、82の論文、世界の最新エビデンスをもとに正しく効果的な歩き方を書いた本『1日1万歩を続けなさい』から、今日から役立つ「歩き方のコツ」をお伝えします。
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認知症は他人事ではない
厚生労働省によると、65歳以上の認知症患者は約600万人(2020年)。
2025年には、高齢者の5人に1人は認知症になると言われています。
認知症は決して他人事ではなく、その点からも次の調査は大変参考になるものです。
ウォーキングは認知症予防に「効く」
東北大学は65歳以上の男女約6900名を対象に、自分が普段どれくらい歩いているかを「1日30分未満/30~60分/60分以上」から選んでもらい、約6年間、追跡調査を行いました。
すると「歩行時間60分以上」を続けた人たちは、「30分未満」だった人より認知症リスクが28%も低かったことがわかりました。
2大認知症も1日1時間のウォーキングで防げる
認知症には大きく分けて4種類あり、その多くはアルツハイマー型認知症(約70%)と脳血管性認知症(約20%)に分かれます。
一番多い「アルツハイマー型」は、遺伝と環境によるものがありますが、その発症は生活習慣や食生活、睡眠に関係すると言われています。
一方、「脳血管性認知症」も脳梗塞などを防ぐべく、生活習慣病にならない食事と運動が重要です。
つまりいずれにしても認知症予防には生活習慣病予防が大切。
その意味からもウォーキングはおすすめです。
しっかり歩いてしっかり眠って長生きを
私たち内科医も、状況によっては認知症のスクリーニングテストである「長谷川式簡易知能評価スケール」で検査を行い、問題があれば物忘れ外来をご紹介することもありますが、なによりまずは毎日しっかり歩くことで生活習慣病を予防し、夜ぐっすり眠るようにする。
それが認知症予防にも長寿にも「効く」のです。
※本書には、ウォーキングにまつわるさまざまなエビデンスと、具体的かつ効果的な歩き方が紹介されています。