老眼鏡との正しい付き合い方とは?

老眼の進行は、食い止められる?岩見久司 医療法人社団久視会 いわみ眼科院長

「老眼の始まりはたいてい『ちょっと見えにくい』、あるいは『見えなくはないけど目が疲れる』といった自覚症状から始まります。しかし、人はそうした不自由さに慣れる力があるので、そもそも老眼である事実を受け入れにくい現実があります。さらに、もともと視力のいい人は眼鏡をかけることに抵抗があり、ケアが遅れてしまうことも一因でしょう」

 怪我や病気のように明確な症状が突然表れるなら、真剣に対処法を探すだろうが、老眼は病気ではなく老化現象であるから、気づかないうちにじわじわ進行しているのが厄介だ。

 また、老眼を自覚したとして、適切な眼鏡合わせをしてくれる専門家が不足しているのも大きな課題であると岩見先生は指摘する。

「老眼はおよそ45歳から55歳あたりの頃が最も症状を自覚しやすく、その間は進行に合わせて、定期的に老眼鏡を見直すことが推奨されます。しかし、最近でこそ眼鏡士にも国家資格が登場しているものの、まだまだ有資格者が足りておらず、どうしても老眼に対する適切な処置が遅れてしまいがちなのが実情です」

 つまり、街中の眼鏡店に飛び込んでも、現状では確かな知識に基づいて適切な助言をしてくれる眼鏡士に出会える確率は低く、結果として老眼に対するケアがおろそかになってしまうのだという。確かにこれは問題だ。