人が次々辞めていく、上司と部下の会話がない、メンバーのモチベーションが上がらない――コロナ明け、チーム内コミュニケーションに悩んでいる人も多いかもしれない。そんな悩める人におすすめなのが、北の達人コーポレーション(東証プライム上場)・木下勝寿社長の最新刊『チームX(エックス)――ストーリーで学ぶ1年で業績を13倍にしたチームのつくり方』だ。
これまでのシリーズ『売上最小化、利益最大化の法則』は「20年に一冊の本」と人気会計士から評され、『時間最短化、成果最大化の法則』はニトリ・似鳥会長と食べチョク・秋元代表から「2022年に読んだおすすめ3選」に選抜された。フォーブス アジア「アジアの優良中小企業ベスト200」4度受賞、東洋経済オンライン「市場が評価した経営者ランキング2019」1位となった木下社長だが、その裏には「絶頂から奈落の底へ」そして「1年でチーム業績を13倍にした」という知られざるV字回復のドラマがあった。しかもその立役者はZ世代のリーダーたち。本稿では『チームX』の一部を抜粋・編集しながら「勝てるチームの法則」を初めて公開する。

チームXPhoto: Adobe Stock

「数字万能病」とは?

 デジタル化が進み、あらゆるものがデータ化されると、あいまいだったものが数値化され、クリアになってくる。

 これまで感性主導だったマーケティングは、WEBマーケティングの登場によりどんどん進化してきた。

 だが、ここで大きな問題が起きた。

 メンバーが数字「だけ」で判断するようになったのだ。

 私の経験値では仕事の成否を判断する際は、きっちりとした調査や計算をすれば、7割の段階くらいまでは数値で判断できる。

 しかし、残りの3割はやはり感性や感覚が必要だ。

 クリエイティブのよし悪しなどは数字だけで判断できるものではない。

 しかし、デジタル化の推進により、本来7割の段階までの裏づけを取るサポート的存在であるべき数字が、あたかも10割まで判断できる「万能な判断基準」かのようにとらえられてしまったのだ。

 これを「数字万能病」という。

 本書の「テクニカルマーケティングと分業化の弊害」では、「中身」ではなく、「数字」で判断してしまったのが最たる愚例を紹介している。

 データをもとに判断すると賢くなったような気がするが、それは大きな誤解だ。

 7割までは必ず数値で裏づけを取るべきである。

 だが、それで終わらせるのではなく、残りの3割は感性や感覚を用いて判断できるようにならなければならない。

数字は「有能」だが「万能」ではない

 仮に「CVR(成約率)=50%」という結果が出たとき、無邪気に喜んでいいのか?

 実際にWEBサイトを見て、自分だったら50%の確率では絶対買わないと思ったら、数字自体がおかしいのでは? と気づく感性が必要だ。

 数字はあくまでも仮説を裏づけるもの。
 あまりに仮説と違う結果が出た場合は「数字自体を疑う」ことが必要だ。

 数字は「有能」だが「万能」ではない

(本稿は『チームX――ストーリーで学ぶ1年で業績を13倍にしたチームのつくり方』の一部を抜粋・編集したものです)