「とっさの質問にうまく答えられない」「『で、結局、何が言いたいの?』と言われる」「話し方やプレゼンの本を読んでも上達しない」……。そんな悩みを持つ方は、言語化の3要素である「語彙力」「具体化力」「伝達力」どれかが欠けていると指摘するのは、文章や話し方の専門家であり言語化のプロである山口拓朗氏。本連載では、山口氏による話題の最新刊「『うまく言葉にできない』がなくなる言語化大全」の中から、知っているだけで「言語化」が見違えるほど上達するコツをご紹介していきます。

「伝え方」のノウハウ本を読んでもなかなか効果が出ない理由Photo: Adobe Stock

伝え方」は言語化の最後のステップ

すでに世の中にはたくさんの「言語化」に関する書籍が出版されています。

しかし、その多くは「伝え方」にスポットを当てたものです。結論から言ったり、ポイントをしぼって伝えたり、インパクトのある言葉を使ったり。どのような流れ、表現にすれば相手に伝わるのかということを、数多くの書籍が指南しています。
ところが、うまく応用できない。いざというときに使えない。そういう人たちが後を絶ちません。

なぜなら、伝え方は、いわば言語化の仕上げの作業だから。前回の連載で言うとSTEP3の「伝達力」の部分です。「この相手ならAよりBの言い方が刺さるな」「誤解されないように最大のポイントであるAをまず伝えよう」など、伝え方を磨き上げる作業です。

しかし、本当は「どう伝えるか」に注力する前に「何を伝えるか」を考える必要があります。そのことに気が付かない限り、言語化力はなかなか向上しません。

語彙力を伸ばすだけでもダメ

 また、昨今は読書量の低下に加え、チャットで短文のやりとりをすることが多いため、語彙力が低下している人が増えています。
そんな背景もあり、最近は語彙力を高めるための書籍も人気です。けれども、語彙力だけをいくら伸ばしても、それだけで言語化力アップとはいきません。

 その言葉をどのように組み立てて「具体化」し、伝えたい内容の解像度を上げていくか。その力こそが求められているからです。

 つまり、言語化力をあげるには「語彙力」「具体化力」「伝達力」のすべてをあげる必要があるのです。

*本記事は、山口拓朗著「『うまく言葉にできない』がなくなる言語化大全」から、抜粋・編集してまとめたものです。