「とっさの質問にうまく答えられない」「『で、結局、何が言いたいの?』と言われる」「話し方やプレゼンの本を読んでも上達しない」……。そんな悩みを持つ方は、言語化の3要素である「語彙力」「具体化力」「伝達力」どれかが欠けていると指摘するのは、文章や話し方の専門家であり言語化のプロである山口拓朗氏。本連載では、山口氏による話題の最新刊「『うまく言葉にできない』がなくなる言語化大全」の中から、知っているだけで「言語化」が見違えるほど上達するコツをご紹介していきます。

「なぜか仕事がうまくいく人」に共通するたった一つの能力とは?Photo: Adobe Stock

なぜかうまくいく人とうまくいかない人の差は?

 仕事で評価され、職場での人間関係もうまくやりながら、目標を次々に実現していく…。あなたのまわりにそんな「なぜか仕事がうまくいく人」がいませんか?
 努力しているのに評価されなかったり、人間関係で誤解されたり、取引先とトラブルを起こしたり…。そんな「なぜか仕事がうまくいかない人」との差は、ズバリ「言語化力」にあるのではないかと私は考えています。ここでは言語化力を高めることで得られる具体的なメリットを7つ紹介しましょう。

●メリット① 適切な「報連相」ができるようになる

ビジネスシーンでは「報連相(報告・連絡・相談)」が特に重要です。新入社員や言語化が苦手な人の中には、報連相をした後に「で、結局どういうこと?」と言われてしまう人が少なくありません。私は企業研修の講師もしていますが、「報連相がちゃんとできない社員が多い」という管理職の方の声をよく耳にします。

それだけに、報連相ができるようになればライバルより頭ひとつリードできる可能性が高まります。
報連相ができるということは、大事な基本情報を抜けもれなく伝えられるということ。そこに特別な感性はいらないし、ユーモアもいりません。事実を事実として正しく伝える。報道記者にも通じるこのスキルは、ビジネスパーソンの土台そのものです。

事実を的確に捉えることができれば、その事実を分析する精度が高まり、対策も講じやすくなります。高い頂を目指す人ほど土台固めに余念がありません。報連相ができるようになることは、仕事で成果を出すための最速チケットでもあるのです。

●メリット② 興味を引く自己紹介ができる

自己紹介って、意外と難しくないですか? 名刺交換のときに簡単な一言を添えるのも自己紹介なら、面接のときの自己PRも自己紹介です。そのシチュエーションは多種多様ながら、共通する大事なことは、「TPOに合わせて自分を印象的に紹介すること」です。これを間違うと、最初から「嫌味なヤツだな」と思われたり、「全く印象に残らない人」の烙印を押されたりするかもしれません。自己紹介は、自分という人間を構成している要素を細かく(=具体的に)洗い出して可視化することで、語るべき事柄が見え、さまざまな角度から自分について伝えられるようになります。
 そのつど最適な自己紹介ができるようになると、相手の記憶や印象に残りやすく、認知度や市場価値も高まっていきます。人脈も広がり、活躍のステージも上がっていくことでしょう。

●メリット③ SNSで魅力的な発信ができる

自分の考えや意見を自由に言えるSNSは、ともすると文章が独りよがりになりがちです。「今日、〇〇カフェに行った!」というようなSNS投稿はよく見かけます。でも、これだけだとフォローしようという気にはなりませんよね?
一方、SNS発信が得意な人は、○○カフェの魅力を伝えることができます。お店の場所やおすすめのメニュー、使われている食材、そのおいしさ、店内の様子、価格など、読み手の役に立つ(興味を引く)具体的な情報を提供しています。
この差は微差ではなく大差です。前者はフォロワー数も伸びず、影響力も出ませんが、後者はフォロワー数が伸び、影響力も増していきます。この先、SNSでの発信力がビジネススキルとして重要視される可能性も十分に考えられます。その際に、文章で「言語化できる・できない」の差が大きな分かれ道となるのです。