「楽しそう」な渋谷のハロウィーン、
実は中国人の若者も大勢参加していた

 冒頭に書いた渋谷の今年のハロウィーンを、筆者も覗いてきた。特別な事情で例年ほどの盛り上がりではなかったが、楽しんでいる人は少なからずいた。上海のハロウィーンの、どこか悲壮感が漂う雰囲気と比べると、日本は「カワイイ、のほほん」という印象だった。同じ年頃の若者であっても、表現するものがまるで違う。ハロウィーンさえも、政治や社会環境に対し自らの主張を訴える場として利用する上海と、無邪気に楽しむだけの東京。この違いに、社会問題や政治環境に対する不満があっても言えない中国の若者と、選挙権があっても投票に行かない日本の若者との意識の温度差を感じてしまうのは筆者だけだろうか。

 もう一つ気になったのは、渋谷のハロウィーンであちこちから中国語(北京語)が聞こえてきたことだ。体感としては、聞こえてくる言葉の3分の1以上が中国語だった。実は今年、渋谷のほか池袋でも、大勢の中国人の若者がハロウィーンに参加していたようだ。ハロウィーン直前、10月27日に亡くなった中国の李克強前総理のお面を付けた人たちがたくさんいたという(その場でお面を配っていたらしい)。もしかすると来年は、東京のハロウィーンでも政治的な仮装をする中国人の若者の姿を多数見るようになるのかもしれない。