渋谷区長が「来ないで」と発言、厳戒態勢の中行われた今年の東京のハロウィーンは例年よりもあまり盛り上がらなかった。その一方、大変なにぎわいで、11月に入ってからも中国で話題沸騰中なのが、上海で行われたハロウィーンの様子である。ハロウィーンを通じて、中国の若者たちが発信したメッセージとは?(日中福祉プランニング代表 王 青)
2023年、日本のハロウィーンが盛り上がらない一方で
上海ハロウィーンが大きな話題に
今年の日本のハロウィーンは例年になく盛り上がりを欠き、当日の様子はあまり話題にならなかった。昨年、韓国ソウルの梨泰院で159人が亡くなった悲劇的な事故の影響が大きく、安全への配慮から、例年もっとも大勢の人が集まる渋谷区の区長が「今年のハロウィーンは渋谷に来ないで」と呼び掛けたためである。当日は厳戒態勢で、仮装する人が昔に比べて少なく、あまり盛り上がらないハロウィーンとなった。
一方、中国では、上海で行われたハロウィーンの様子が11月になっても依然として熱い話題となっている。上海ハロウィーンに関する記事へのアクセス数は2.4億を記録するほどで、SNSも上海ハロウィーンの写真や動画で溢れかえっている。
ハロウィーン(中国語では「万聖節」)は西洋発祥の祭りだが、国際色豊かな都市・上海では近年すっかり定着した。コロナ前までは上海ハロウィーンでも日本と同じような仮装やコスプレが中心だったが、今年は様子が違ったのだ。政治や社会問題をテーマにしたコスプレが目立ち、若者たちが不満やストレスを表現する機会となっていた。
旧租界地のいくつかのエリアには大勢の人々が集まり、イベントは大盛り上がりで人がごった返していた。中でも注目を集めたのは、全身白い防護服を着た「大白」の仮装をした人の姿だった。