2024年は「日本株爆買い」元年、海外マネーが日本に押し寄せる必然四季報の達人がダイヤモンドに登場!複眼経済塾の渡部清二塾長 撮影:ダイヤモンド・ライフ編集部

数々の10倍・100倍株を的中させてきた四季報の達人こと複眼経済塾代表の渡部清二さんが、2024年の株式相場を大胆予測。「日本株は上がる」という渡部さんは、3つの要因を上げてくれました。その一つが「海外からの資金シフト」。なぜ、いま海外マネーが日本に流れてくるのでしょうか。さらに、これから伸びる8つの投資テーマも紹介しています。(取材・構成/ダイヤモンド・ライフ編集部 松本幸太朗)

李克強氏も使った
本当の景気をわかる3つの経済指標

 オンラインで手軽に情報を仕入れられるようになったことで、何でも知ることができるようになったと勘違いしてしまう人が増えたのではないかと感じています。しかし、いつでも無料で手に入る情報というのは、相応の価値しか持ちえません。そうした「お手頃な情報」が増えたことで、むしろ本当に知るべきはずの情報から私たちは遠ざけられているのではないでしょうか。

 投資に関する情報も例外ではありません。私が証券会社に入ったころは、工場の門に出入りするトラックの数を数えたり、電気が何時までついているかを確認したりする人がいました。そうすると、どのくらいの物流量があるのか、どのくらい工場が稼働しているのかという「生の情報」を手に入れることができたのです。現場に近い情報ほど知っている人は限られますから、価値が高い情報が多くなる傾向があります。

 先日亡くなった中国の李克強首相も同じような考えを持っていました。彼は遼寧省で党委員会書記に就任していた2007年に、国内総生産(GDP)よりも信頼できる数値として「電力消費量」「鉄道貨物輸送量」「銀行融資残高」の3つの指標を挙げて同省の経済を分析していたそうです。これらは「李克強指数」と呼ばれ、中国の実体経済を正確に把握する手段として用いられています。それぞれ、エネルギー、モノ、カネの流れを追う指標で、それぞれ大きいほど景気が良いと判断することができます。また、統計操作がしづらいのが特徴で、信頼性の高い情報として広く利用されてきました。
 
 2024年の日本経済の動向を把握するうえで、興味深い記事が日本経済新聞に掲載されていました。「物流施設の空室率、7年ぶり高水準 EC向け供給過剰に」という見出しで、首都圏における物流施設の空室率のデータが紹介されています。

「物流施設の空室率が高い」ということは、ものが動いていないことを意味します。倉庫であれば在庫としてものがそこに留まりますが、物流施設は搬入と搬出を繰り返す一時的な貯蔵施設なので、ほぼリアルタイムで実態経済を反映しています。物流施設の空室率は、先ほど紹介した「李克強指数」における「鉄道貨物輸送量」に相当します。つまり、データからは、現在の日本経済が「不景気」であるということがわかります。

 7年ぶりということは、前に同水準となったのは2016年。その年に何が起こったのかを確認します。
 
 2015年にチャイナショックが起こって、中国株が大暴落。16年には日経平均株価も下がりました。その後、物流施設の空室率が改善するのと歩調をあわせるように、株価も上昇しました。つまり、2016年は株価の底だったのです。

 したがって、23年現在も株価に下落圧力が働いていると予想されます。もし24年の物流施設の空室率が順調に低下してくれば、前回と同じように株価も上昇していくと考えられます。結論から申し上げると、24年の日本経済は上昇相場になるだろうということです。