スマホ時代になって、長い文章が嫌われるようになった。そこでコピーライティングの第一人者、神田昌典氏25年の集大成『コピーライティング技術大全──百年売れ続ける言葉の原則』の中から、「オフラインでも自由自在に使える5大技術」を抜粋して紹介する。

ダイレクトメールPhoto: Adobe Stock

 オフラインは今でも一定の効果があるが、オフラインにはオフライン独特の技術がある。いくつか紹介しよう。

1.ニュースレター

 ニュースレターとは、売り手から顧客に向けて定期的に発行する、ページ数の少ない雑誌のようなもの

 顧客に定期的にコンタクトする手段が「手紙」にほぼ限定されていた時代には、必須ツールと考えられていた。

 しかし、現在ではメールやブログがその役割を果たしている。

 とはいえ、電子化が進んでも、紙の新聞・雑誌が完全になくならないように、紙のニュースレターも一定の効果がある。

 特に、美容室のような店舗ビジネスで、定期的なリピートが見込める場合、顧客とのコンタクトツールとして今でも有効だ。

 ニュースレターを書く際のポイントは、売り込みや、なんらかの反応を期待するのではなく、読み手との関係構築に主眼を置くこと。

 最大の目的は、読み手が「私のことをよく知っているなあ」という擬似体験を起こすことだ。

 セールスレターに代表される「人を動かす」メッセージは、基本的に読み手側に立ったメッセージで書く。

 だが、ニュースレターは「人を動かす」ことが目的ではないので、自分の趣味やプライベートの話でもOK。

 こちらから自己開示することで、親近感にもつなげられる。

 ブログにも種類や位置づけにバリエーションがあって、「人を動かす」ことが目的ではない場合は、自己開示でOK。

 ただし、自慢話のオンパレードでは逆効果になるので、「さじ加減」は重要だ。

 基本的に「人に読んでもらう」ことが目的の場合には、読み手目線を意識しよう。

 自己開示に加えて、役に立つ情報提供を入れるといい。

 ニュースレターの発行頻度は、昔は多ければ多いほどいいとされてきた。

 だが、現在では、ニュースレター自体が顧客とのコンタクト手段のメインなのか、ブログなどの補完的な意味合いなのかで頻度は変わってくる。

 また、ニュースレターを送るには住所が必要だが、住所がわからないことも多い。

 そんなときも、美容室など来店型店舗ビジネスなら、店舗で渡したり、店舗に置いたりすればいい。

 ニュースレターの強みは「紙媒体」であること。

 それが活かせる場合にだけ使えばいい。だから、ブログ、メールなどで対応でき、住所が不明のときは無理して使わなくていいのだ。

 参考までに、ニュースレターには、関係構築が目的の無料のもの以外に、株式投資など、お金を出してでもほしい情報を集めた「有料ニュースレター」もある。アメリカでは有料ニュースレターを定期購読にするビジネスがよくある。

2.ティーザーコピー

 ティーザー(teaser)とは、「じらし」という意味。

 元々はアメリカでダイレクトメールを郵送していた時代に、封筒の表面に中身が読みたくなるコピーを入れ、開封を促したものを「ティーザーコピー」と呼んでいた。

 その時代の生命線は「いかに封筒を開けてもらうか」だった。

 封筒=即ゴミ箱行きでは、どんなに秀逸なセールスレターが入っていても意味がない。だから、昔のコピーライターは封筒にも魅力的なコピーを書いて開封されるよう、様々な工夫をした。

 現在では、メールの件名は、「メールを開けて読んでみよう」という強烈な動機づけが必要となるから、封筒のティーザーコピーと同じ役割が求められる。

3.グラバー

 紙のセールスレターを郵送する際、封筒に砂時計や方位磁石、車のおもちゃなどを入れておくと、封筒がゴツゴツして何が入っているのか気になって開封されやすくなる。この手法を「グラバー」という。

 グラバーとは「つかむ」という意味の「grab」からきている。

 たとえば、砂時計を入れた場合、中のコピーには次のように書く。

この手紙には砂時計を入れました。一つは、あなたに封筒を開けて
もらいたかったからです。そして、もう一つは、締切が迫っていて、
時間がないことをお知らせしたかったからです。

 ただし、ユーモアのセンスが問われるので、乱用厳禁だ。

4.リフトノート(リフトレター)

 封筒にセールスレターを入れる際に、本体のセールスレターとは別の紙に書かれた推薦文のことを「リフトノート」または「リフトレター」という。

 リフトは「lift」で「持ち上げる」、つまり成約率を持ち上げるという意味だ。権威者からの推薦の言葉や開発者のコメントなどを入れる。

 目立つように、紙のサイズや紙質、紙の色も本体のセールスレターと違うものがよく使われる。

5.バックスリップ

 リフトノートに似ているが、紙幣と同じくらいの大きさで、申込方法やオファーを繰り返すなど、目立たせたい情報を書くものを「バックスリップ」という。

 リフトノートよりもさらに小さなサイズで、コンパクトに書かれているので目に止まりやすい。

【9割の人が知らない】オフラインでも自由自在に使える5大技術とは?

(本原稿は、神田昌典・衣田順一著『コピーライティング技術大全──百年売れ続ける言葉の原則』からの抜粋です)