美術館に行っても「きれい!」「すごい!」「ヤバい!」という感想しかでてこない。でも、いつか美術をもっと楽しめるようになりたい。海外の美術館にも足を運んで、有名な絵画を鑑賞したい! そんなふうに思ったことはないでしょうか? この記事では、書籍『死ぬまでに観に行きたい世界の有名美術を1冊でめぐる旅』から、ご指名殺到の美術旅行添乗員、山上やすお氏の解説で「知っておきたい名画の見方」から「誰かに話したくなる興味深いエピソード」まで、わかりやすく紹介します。

ひまわり フィンセント・ファン・ゴッホ『死ぬまでに観に行きたい世界の有名美術を1冊でめぐる旅』より

ゴッホの「ひまわり」が評価されている理由

さて、ここからがゴッホの本領発揮なんですが、ゴッホの「ひまわり」ってきれいだと思いますか

──え! ずいぶん唐突ですね!(汗) ええ、もちろんきれいだと思いますよ。こんなに有名なんですから!

そうですか、じゃあ、次のモネの描いたひまわりと、どっちのひまわりがきれいに見えますか?

ひまわり クロード・モネ『死ぬまでに観に行きたい世界の有名美術を1冊でめぐる旅』

──え! う~ん…。そう言われると、お花の繊細さとか、みずみずしさとかはモネの方が上のような…。うん、なんか「どっちがきれい?」と言われるとモネの方がきれいな気がします。

ですね! ということは、ゴッホの「ひまわり」は美しいから評価されているわけではないことがわかります。

ゴッホはこの絵を描きながらゴーギャンを熱烈に待ち焦がれていました。

そのゴッホ、という人格がキャンバスの端々に表れているような気がしませんか?

──人格が表れる…?

例えばひまわりの形もちょっと現実にはないような粗野な描かれ方だったり、筆遣いにしても乱暴にも見えるくらい筆跡が目に見えてわかる部分があったり。

つまり、目の前にあるひまわりそのものではなく、「ゴッホ」というフィルターを通したひまわりが描かれているというイメージでしょうか。

──なるほどー!! 確かに、普通にひまわりの花を描こうと思ったら、きっとモネの絵のようなひまわりになりますよね。そう思うと、ゴッホのひまわりはまるで意思がありそうにも見えてきます。なんだか動き回りそう…(汗)。

はは、ほんとですよね(笑)。でも、それがゴッホの絵の最大の特徴でしょうね。

(本記事は山上やすお著『死ぬまでに観に行きたい世界の有名美術を1冊でめぐる旅』から一部を抜粋・改変したものです)