ここ数年、熱狂的なサウナブームが続き、若者や中高年女性など、幅広い世代にまですそ野が広がっています。しかし、サウナ愛好家の間でも、「結局、どうやって入るのが正解なのかわからない」「『ととのう』ってどんな状態なんだろう」と疑問を持っている人も少なくありません。
そこで今回は、最新データに基づいて科学的に正しい入り方を解説し、「ととのうための必携書」「めちゃくちゃわかりやすい」と話題を呼んでいる新刊『究極にととのう サウナ大全』の著者・加藤容崇先生(日本サウナ学会代表理事・慶應義塾大学医学部特任助教)にご登壇いただいた、本書刊行記念セミナー(ダイヤモンド社「The Salon」主催)で寄せられた質問への、加藤氏の回答を公開します。(構成/根本隼)
Q. 水風呂が苦手です
読者からの質問(1) 水風呂が冷たすぎて入れません。無理やり入るのは、体に悪いでしょうか?
加藤容崇(以下、加藤) 結論を先に言うと、水風呂はマストではありません。でも、水風呂に入らない場合、代わりに水シャワーを浴びたり、休憩時間を通常より長くしたりして、体をクールダウンさせる時間をきちんと確保することが非常に大事です。
そうしないと、サウナで上昇した心拍数が、平常時の数値に戻らないからです。
水シャワーは全身を一気に冷やせるわけではなく、水風呂よりも冷却効果は低いです。なので、体をしっかり休ませるには、水風呂に入るときと比べて約2倍の休憩時間が必要です。
実際、「水風呂が冷たくて入れない」というのは、多くのサウナ初心者に共通の悩みではないでしょうか。そんなときに、一番やってはいけないのが、「無理やり入る」ことです。
初心者の場合は、まだ体がサウナに適応していません。水風呂は体への負担が大きく、血圧が乱高下するタイミングなので、要注意ポイントなんです。
まずは水シャワーにするか、腰や膝までなど無理のない部分まで水風呂に浸かるなどして、徐々に体を冷水に慣らしていくことが大事です。
Q. サウナハットの素材は何がベストですか?
読者からの質問(2) ここ数年、サウナハットが普及したように感じています。ハットの生地には絹やメッシュなど様々ありますが、素材の違いによって「ととのい」に変化はあるのでしょうか?
加藤 上級者の質問ですね。科学的なデータがあるわけではないですが、僕自身がいろんなサウナハットを使ってみて感じたのは、熱い空気を遮断して頭部への負荷を和らげる「断熱効果」に関しては、フェルトが一番だということです。
サウナの本場・フィンランドのハットも、ほとんどフェルト製です。ただし、洗濯しづらい、形状がダサいといった「実用面」に対する不満の声も多々あります。
そのため、タオル地のものを使っている人もいると思いますが、生地が薄く、熱に対する防御力は低いです。しかも、生地が濡れると、ハット自体が高温になってしまいます。
個人的にはフェルトをおすすめしますが、タオル地のハットを使う場合は、きちんと水分を絞ってなるべく乾燥させてから使うのがポイントです。
なお、通気性に優れたメッシュについては、蒸れを防げるメリットがある一方で、断熱性が低いというデメリットもあります。タオルほど薄い生地ではないですが、メッシュも熱に対する防御力は低めだといえます。
(本稿は、ダイヤモンド社「The Salon」主催『究極にととのう サウナ大全』刊行記念セミナーで寄せられた質問への、著者・加藤容崇氏の回答です)