トヨタ以下、自動車各社の24年3月期通期純利益予想は、ホンダ9300億円(前年比43%増)、日産自動車3900億円(同76%増)、スバル3200億円(同60%増)、スズキ2400億円(同9%増)、マツダ1700億円(同19%増)、いすゞ1650億円(同9%増)、三菱自動車工業1400億円(同17%減)だった。
なお、三菱自は営業利益では300億円の上方修正をしたが、中国事業の撤退分の特別損失を計上しており、純利益では前期比減を予想。また、日野自が米国集団訴訟和解金340億円を特別損失として計上し、220億円の赤字を予想している。
エンジン不正問題による対応が最終段階にある日野自を除く日本車全社が、“本業の稼ぐ力”である営業利益を上方修正する好業績を達成した上で、来期24年度に臨むことになるのだ。
ただし、各社が今期好調なのは、半導体不足の解消に伴う生産体制回復と北米事業の好調による収益増に加えて、円安による為替差益が大きく業績を押し上げたという要因も大きい。
営業利益の上方修正額のうち、円安の寄与分はトヨタで1兆1800億円、ホンダで2940億円、日産で400億円、スバルで1401億円、スズキで420億円、マツダで798億円、三菱自で398億円となっており、その上振れ分は大きい。
とはいえ、それでもトヨタは営業利益率10%以上と高水準だ。これは、足元の円安効果だけでなく、豊田章男社長時代の14年間の積み重ねの成果という数字でもあるだろう。
くしくもこの4月から6月にトヨタをはじめとして、スバル・マツダ・いすゞでもトップ交代が起き、それぞれ新社長が就任した。
トヨタでは佐藤恒治社長が新体制をスタートさせるとともに、今期最高益をフックに「成長投資を増やして、モビリティカンパニーの新たなフォーメーション作りを目指す」と意欲を見せる。だが、佐藤トヨタ体制のかじ取りは未知数であり、稼ぐ力・成長の恩恵をいかに配分していくか、モビリティカンパニーへの変革の具現化へ課題も多く真価が問われるのはこれからだ。