中国事業に関しては、ダメージを受けていないメーカーもある。スズキはインドに集中投資するため、18年に重慶長安汽車との合弁事業を解消し早々と撤退を決断しているほか、スバルは現地生産を目指し合弁先を検討したものの合意に至らず、進出できなかったことが結果的に幸いした格好となっている。

 いずれにしても、欧米・日・韓国の自動車メーカーがこぞって重視してきた世界最大の自動車市場である中国だが、政府による地場産業優遇の姿勢や中国経済の停滞などによる市場変調が浮き彫りとなり、日本車各社の中国事業が大きな岐路に差し掛かっていることは確かだ。

「中国は抜けた者勝ち」なのか、それとも残存者が勝利するのか。中国事業の成否次第で、今後の各社の業績にも大きく影響を与えそうだ。

ホンダは四輪の収益力回復なるか
日産はルノーとの関係が課題に

 中国事業の懸念に加えて、各社の今後の注目論点についてまとめておこう。

 まず、ホンダは営業利益段階で前期比54%増の1兆2000億円と過去最高を更新する見込みで、これにより課題であった四輪事業の黒字転換を果たし、「二輪事業に四輪事業がおんぶに抱っこ」の状態からいよいよ脱するかが注目される。

 ただし、北米と並び“二本柱”となってきていた中国事業の低迷に加え、EV事業での米GM共同開発プロジェクトの解消が今後の電動化戦略にどう影響を与えるのか、不透明な状況となっている。