日産は、決算発表後の8日に提携先の仏ルノーと、双方が15%ずつの出資とする資本関係の見直しが完了したと発表した。これにより、両社が対等に議決権を行使できるようになり、11月8日付で新たなアライアンス契約を発効した。すでに日産と三菱自は、ルノーのEV新会社「アンペア」にそれぞれ最大で6億ユーロ(約978億円)、2億ユーロ(約326億円)出資することで合意している。
3社の関係は、ルノーと日産が対等出資する関係となるが、日産が三菱自に34%出資することに変わりはない。当面は3社アライアンスの形を継続するが、今期の日産・三菱自の業績は予想以上に好転している中で、今回のルノー・日産の対等出資に続く変化もあり得るとみられる。
商用車メーカー再編の動きとしては、いすゞが1650億円と最高益を更新するのに対して、日野自はエンジン不正の米国集団訴訟和解金350億円の特損計上で最終損益220億円の赤字予想を見込んだ。
日本の商用車メーカーは、いわゆる大型4社として長らく日野自・いすゞ・三菱ふそう・UDトラックス(旧日産ディーゼル)が存在し、20年にいすゞがUDトラックスを買収して傘下に収めたことで、3強体制となっていた。
しかし、22年春に日野自のエンジン不正が発覚したことで、日野自の親会社のトヨタと、三菱ふそうの親会社の独ダイムラーも含めた4社会談により日野と三菱ふそうの統合が決定された(24年3月に最終契約予定)。
この結果、日本の商用車構図は、いすゞ+UDトラックスと日野自・三菱ふそうの2強体制に集約されることになる。商用車(トラック・バス)も電動化や自動運転などの新モビリティ移行への投資により業績動向が左右される中で、その方向が注目されている。
各社、それぞれ課題を抱えており、好調な業績に安堵してばかりもいられない。
(佃モビリティ総研代表・NEXT MOBILITY主筆 佃 義夫)