トヨタが過去最高益の見通し
好調決算に潜む課題は?
11月10日までに自動車メーカー各社の2024年3月期(23年4月~24年3月)の上期決算が出そろった。なんといってもトヨタ自動車が通期の業績見通しを上方修正し、営業利益が前期比65%増の4兆5000億円、純利益が61%増の3兆9500億円で、最高益を更新する圧倒的な数字を出してきたことが話題になった。
これは、過去最高の22年3月期の純利益2兆8501億円を大幅に上回る驚異的な数字だ。トヨタの宮崎洋一副社長CFOは「長年の収益構造改善が着実に進んできた結果と受け止めている」と評価し、「将来に向けた投資を推進できる、強固な財務基盤につなげられた」(宮崎CFO)と総括した。
「トヨタの稼ぐ力、最強」という評価が高まった決算発表だったが、実は上場している自動車メーカ9社(乗用車7社、商用車2社)のうち、エンジン不正訴訟対応を抱える日野自動車を除く8社がいずれも営業利益を上方修正している。
トヨタだけでなく、マツダ、スズキ、いすゞ自動車なども最高益更新の見込みだ。これは日本の自動車産業がコロナ禍を乗り越えて、100年に一度の大変革期における生き残りに向けた大きな改革をしてきたことを裏付ける業績だと受け止められるだろう。