「怒られて落ち込む人と怒られ上手な人で考え方の差があります」
そう語るのは、これまでネット上で若者を中心に1万人以上の悩みを解決してきた精神科医・いっちー氏だ。「モヤモヤがなくなった」「イライラの対処法がわかった」など、感情のコントロール方法をまとめた『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』では、どうすればめんどくさい自分を変えられるかを詳しく説明している。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、考え方次第でラクになれる方法を解説する。(構成/種岡 健)
「怒られても平気な人」になろう
あなたは、「自分が他の人よりも怒られるのが怖い」「人一倍、怒られると仕事や学校に行きたくなくなる」と感じた経験はありませんか?
多くの人が、一度や二度はそう感じたことがあるでしょう。
しかし、中には、怒られたときも平然としていたり、それをポジティブに捉えて成長する人もいます。
いわゆる、怒られ上手な人たちです。
怒られたときに落ち込む人と、怒られ上手な人との間にはどんな違いがあるのでしょう?
「人格否定ではない」と知る
「怒られる」とは、腹を立てられてしまい、興奮して気をぶつけられてしまうことを指します。
そんなとき、自分自身が気づいていないか、隠していることを他人に指摘され、心が傷ついてしまいます。
ときには相手が怒りにまかせて、人格否定や過去の失敗も合わせて指摘するなど、いろいろなことを言われてしまい、恐怖心や羞恥心を感じてトラウマになってしまいます。
そんな怖い思いをすると「怒られるのは怖い」と学習し、もう同じような目に遭わないように防衛反応が生じてしまうのです。
そんな防衛反応によって人によっては大袈裟に反応してしまうようになります。
頭がパニックになって怒られるたびに泣いてしまったり、逆ギレして関係をギクシャクさせてしまったりと、自分の感情に振り回されて日常生活に支障が生じてしまいます。
そんな防衛反応も、傍目から見れば「怒られ慣れてないから、すぐに泣いてしまうんだ」「耐性がない。甘やかされてきたのね」と、子どもっぽい、未熟な人と見なされてしまうこともあるのです。
そんな怒られることへの防衛反応が過剰になってしまい「怒られることへの苦手意識」が生じている場合、それを克服する上でまず大事なのは、「怒られるっていうのはミスに対することであって、あなたの人格自体が否定されてるわけじゃない」ということを意識することです。
メタ的に捉えよう
怒られるとついつい感情的になってしまうものです。
その結果、相手の怒りや敵意をモロに感じてしまい、怒られる側は過剰に反応してしまうようになります。
そのため、「この怒りは自分ではなく、問題に対する怒りなのだ」とメタ的な視点を意識することが重要です。
これによって、ひどく怒られたとしても一歩引いて捉えることができるようになり、
「ミスした内容をちゃんと分析して、受け入れよう」
「この失敗から何が学べるだろうか?」
「どう改善すればいいんだろうか?」
と、一歩引いた視点で捉えることができるようになります。
怒りは強い感情の発現です
相手の怒りの感情に振り回されて、自分の感情も引っ張られないようにして、あくまで事実に基づいて客観的に捉える視点を意識することが大切でしょう。
また、人よりも怒られることに過敏な人は「完璧主義」に見られることが多いです。
時には感情的な部分は「聞き流す」くらいの気持ちでいて、自分を守りながら「自分の強みを活かせればいいや」とか、「すぐには無理だから小さな目標を立てていこう」と少しゆるい気持ちを自分に持てるようになると良いでしょう。
それでもダメなら「逃げる」もあり
「でも、そんなこともう言っていられない」
「何を言っても否定される」
と、あなたが感じているのであれば、それはもう怒る側に問題がある「ブラック」の可能性もあります。
そんなときはもう環境から離れたほうがいいかもしれません。
どれだけあなたが魅力的な人でも、環境が悪いと怒りへのネガティブな感情が日に日に大きくなってしまうでしょう。
もし、あなたが「人よりも怒られることに慣れてない」と感じているのならなおのこと、最終手段として逃げるのがいいということもあるので、選択肢の一つとして残しておいたほうがいいでしょう。
(本稿は、『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』より一部を抜粋・編集したものです)
精神科医いっちー
本名:一林大基(いちばやし・たいき)
世界初のバーチャル精神科医として活動する精神科医。
1987年生まれ。昭和大学附属烏山病院精神科救急病棟にて勤務、論文を多数執筆する。SNSで情報発信をおこないながら「質問箱」にて1万件を超える質問に答え、総フォロワー数は6万人を超える。「少し病んでいるけれど誰にも相談できない」という悩みをメインに、特にSNSをよく利用する多感な時期の10~20代の若者への情報発信と支援をおこなうことで、多くの反響を得ている。「AERA」への取材に協力やNHKの番組出演などもある。