短期間で英語を話せるようになりたい――そんな人に試してほしい1冊が『中学英語だけで面白いほど話せる!見たまま秒で言う英会話』だ。「イラストを見る→見たままを英語にする」を繰り返すことで、日本語を介さずに瞬時に即答する「英語の反射神経」を鍛えることができる。実践的な話す力を養うための最適な1冊だ。本稿では著者の森秀夫さん(麗澤大学外国語学部教授)に「音読の効果を高める5つの方法について話を聞いた。

英語力が伸びない人は、音読の「5つのポイント」を知らないPhoto: Adobe Stock

効果的な音読をするためのチェックリスト

――『見たまま秒で言う英会話』では音読の重要性を強調されていますが、効果的に音読を行うためのポイントはありますか?

森秀夫(以下、森):そうですね。音読に対して誤った認識を持っている学習者は多いかもしれません。

 音読はトレーニング方法を間違えると、期待通りの効果が得られないので、注意が必要です。

 音読に対する認識を確認するために、チェックリストを用意しました。まずは、誤った方法で音読をしていないか、チェックしてみましょう。

【チェックリスト】効果的な音読トレーニングをできていますか?
□音読は退屈なトレーニングなので、同じ英文は、数回音読するだけで終わらせてしまう。
□ダウンロードできる音声データがあるのに、音声を使ったことがない。
□英文の意味を理解できない状態で、音読をすることがある。
□英文を音読する際に、ネイティブにチェックしてもらったことがない。
□音読教材として自分の英語力よりも高いレベルの英文を選んでいる。
□英語には、強く発音すべき内容語と弱く発音すべき機能語があることを知らない。
□音読をする際に、意味の切れ目を意識したことがない。
□音読する英文は、覚えてスピーキングで使おうとしていない。
□音読する英文は、興味深く楽しめる内容の教材を選んでいない。
□音読するときは、常に英文を見て読んでいる

 このリストでは、チェックした項目が多い人ほど、音読に対する認識を改める必要があります。

【効果的な音読①】
自分のレベルに合う教材を選ぶ

――では、このチェックリストをふまえて、何をすれば学習効果の高い音読トレーニングができるでしょうか?

:音読の学習効果を上げるための5つのポイントを紹介しましょう。

 まずは、教材の選び方です。音読教材を選ぶ際は、簡単だと思えるレベルがちょうど良いでしょう。

 英語を習得するためには、やさしい英文を大量に読んだり、聞いたりすることが大切です。

 難しい英文を選ぶ人がいますが、自分で理解できる文構造や語彙レベルの英文から始めてみてください。

【効果的な音読➁】
付属の音声データがある教材を使う

:アメリカ人やイギリス人などの英語話者の音声データがついている教材を選びましょう。

 モデルとなる音声を聞かずに自己流で音読を始めてしまうと、間違った発音やアクセントが身についてしまいます。

 ぜひ自分が英語らしく発音できているか、録音して、モデルの音声と比べてみてください。

 もし自分で評価できない人は、オンライン英会話などを利用して、ネイティブに定期的にチェックしてもらうことが大切です。

 特にイントネーション、発音、アクセントなどを確認してもらうといいでしょう。

【効果的な音読➂】
英文の意味を理解した後で音読をする

:英文の意味を考えずに音読をする人がいます。

 英文の意味が分からないのでは、何のために音読をしているかわかりません。

 必要に応じて、英単語の意味や発音なども辞書で調べましょう。

 音読は単調になりがちですので、読んで役に立つ興味深い内容の英文を音読に使うことをおすすめします。

 悲しい内容は悲しそうに、楽しい内容は嬉しそうに、感情を込めて音読をすると効果的です。

 また、自分が英会話をするときに使えそうだと思えるフレーズを見つけてください。

 書かれている英文をただ声に出すという受け身の意識ではなく、能動的に、自分の言葉として話す意識で音読を行うと、音読した英文が自分の中に定着しやすくなるでしょう。

【効果的な音読④】
毎日継続的に音読をする

:英文を頭で理解できたからと言って、すぐに英語を話せるわけではありません。

 なぜなら、英語特有の発音を習得するためには、日本語とは異なる「英語の口の形」を作る必要があるからです。

 音読はそのための口まわりの筋トレです。少しずつでもいいので、毎日トレーニングを続けることが大切です。

【効果的な音読⑤】
内容語と機能語を意識して音読する

:英語は、「内容語」と「機能語」の2種類に分類されます。

 内容語とは「動詞、名詞、形容詞、副詞などのように意味を伝える」ものです。

 一方、機能語とは「代名詞、前置詞、接続詞などのように文法的な機能をもつ」ものです。

 英語はコミュニケーションの手段です。そのため、意味を伝える内容語は強く発音され、機能語は弱く発音される傾向にあるのです。

参考文献:『音読で外国語が話せるようになる科学』(門田修平・著 SBクリエイティブ)