「DX」文脈でクライアントは大企業にまで拡大

ローンチ当初はスタートアップ企業が主なクライアントだったが、約2年半が経過した現在ではクライアントの顔ぶれもかなり多様化している。特に大きな変化として山田氏が挙げるのが「大手企業のDX文脈でのエンジニア採用ニーズ」だ。

「以前は担当者と話をしても、ウェブ系エンジニアやAI系エンジニアのハイスキル層を自社で採用したいというニーズはそこまで強くありませんでした。それがこの半年から1年で大きく変わってきた印象です。上場企業のIRを見ていても『何割の企業がこの言葉を使っているんだろう』と思うほどDXという文字を見かけるようになり、問い合わせを頂くことも増えてきています」

「ヒアリングする中で1番のポイントだと感じたのは、既存産業にソフトウェアやアルゴリズムを取り込まないと成長できないということです。その上で何を自社で抱えるべきなのか。今後間違いなく大きな価値を産むであろうデータ基盤に関わるところは内製化を進めたい、お客さんが直接使うフロントエンド部分は社内で開発したい。そういった考えから、大手企業がスタートアップで活躍しているようなソフトウェアエンジニアを積極的に採用したいという流れが加速しています」(山田氏)

その際に企業側のネックになるのが「どんな人材を、どうやって採用すればいいのかわからない」ということだと山田氏は言う。もともと大企業は新卒採用の文化があるほか、開発に関してはSIerなど外部企業に任せていた部分が多かったりもする。

ずっと取り組んできたコアとなる生産技術にはものすごい知見がある一方で、ソフトウェアやアルゴリズムのトレンドについての知見は持っていない企業も少なくない。そこをファインディがまるっとサポートするという構造だ。

「あまり知られていないだけで、近年はスキル偏差値の高いエンジニアが集まってきている企業や、モダンな開発環境が整えられている企業もあります。またユーザー数やそれに付随するデータ量が多い大企業だからこそチャレンジできることもある。エンジニア側でもそのような大企業に関心を持つ人が増えてきている印象です」(山田氏)

直近では新型コロナウイルスの影響からスタートアップ界隈でも採用人数を減らす動きなどが出てきて、ファインディの事業にも影響を与えた。ただ結果的に上半期は前年同期比に比べて売上が2倍に成長したという。

スタートアップの中でも医療系やクラウドサービス事業者などは事業拡大に伴い引き続き採用ニーズがあったほか、大手企業の顧客が昨年に比べて増加し売上拡大に貢献した形だ。