“真贋鑑定”と株式市場に着想を得た“ダイナミックプライシング”で人気に

StockXは2015年7月に米・ミシガン州のデトロイトで設立されたスタートアップだ。提供するのはCtoCのマーケットプレイス。当初はスニーカーに特化していたが、現在ではアパレルやトレーディングカードなど、取り扱う商品の幅を広げている。

ネットオークションやフリマアプリには、精巧に作られた“スーパーコピー”と呼ばれる偽物のブランド品が多く出品される。ナイキやアディダスに代表されるメーカーのスニーカーも、もはやそんなブランド品の1つとなっている。その背景にあるのは、レアなスニーカーのプレミア化だ。定価1〜2万円のスニーカーが、その希少性から10万円以上で売られるケースも珍しくない。

そこでStockXはマーケットプレイスを提供して買い手と売り手のあいだに入るだけでなく、偽物の流通を妨げ、理不尽な価格の高騰が起こらない仕組みを用意することで、リセール市場の“悪しき実態”をディスラプト(破壊による変革)した。

StockXでは現在、3カ国6カ所に真贋鑑定を行うための「オーセンティフィケーションセンター(鑑定センター)」を設置している。米国はミシガン州デトロイト、 アリゾナ州テンピ、ニュージャージー州ムーナチー、ジョージア州アトランタに。英国はロンドンに。オランダはアイントホーフェンに、それぞれ鑑定センターを設置している。

各鑑定センターには訓練を受けた約170人の専任鑑定士がおり、日々、世界中から送られてくるスニーカーなどの真贋鑑定を行っている。StockXに並ぶ商品は全てこの真贋鑑定を通過し、同社が本物だと鑑定して専用の「タグ」をスニーカーに付けたものだ。

理不尽な価格高騰を避けるためには、株式市場に着想を得たダイナミックプライシングの仕組みを導入した。商品ページには、商品の市場価格や売買の件数、過去の販売データなどから算出された適正金額を提示する。購入者は、StockXが提示する価格ですぐに購入するか、希望額を提示してその額での出品を待つ。販売者は、StockXが提示する価格で販売するか、購入者が提示している金額で売れるまで待つかを選ぶことができる。

StockXは販売者から手数料を徴収することで利益を得る。販売手数料は11〜12.5%で、販売実績に応じて手数料は変動する。初めて販売する時は12.5%だが、販売数が100足を超える、もしくは販売額が2万5000ドル(約270万円)を超えた場合には11%になる。