先行予約開始から3日で700万円分の注文が入る事例も

pickiでは昨年10月よりブランドの本格展開を始め、現在は4つのブランドを運営中だ。

必ずしも全てのブランドが大きな成長を遂げたわけではなく、現在は休止中のものもあるが、Instagramで28万人以上のフォロワーを抱えるモデルの瀬戸あゆみ氏が立ち上げた「Dear Sisterhood」のような成功事例も生まれ始めている。

 

同ブランドの服は展示会実施後に先行予約の受付を始めたところ、3日で約700万円分の注文が入った。一般的に60%ほどと言われる在庫消化率も96%と高い数値を叩き出したという。

「今までは店頭に並べてみてからでないとお客さんの反応がわからなかったので、『売る前から売れる』ということはありませんでした。pickiでは企画段階からそのストーリーを見せていくことでエンゲージを高めつつ、お客さんの反応を見ながら生産していくことでその仕組みを変えた。『ブランドを科学する』ことを意識しながら試行錯誤を続ける中で、ようやく思い描いていたビジネスモデルが成り立つことを証明できたのかなと思っています」(鈴木氏)

ブランドの拡充に加え、アパレル企業のDX支援やM&Aも計画

今後pickiでは蓄積してきたナレッジを横展開しながら事業を拡大していく計画。個人ブランドについては「年商1億円規模のニッチなブランドを100個生み出すこと」を長期的な目標に掲げつつ、まずはロールモデルとなるような成功事例を作ることが当面のミッションだ。

直近では新型コロナウイルスの影響でリアルなイベントの開催などが難しくなったこともあり、新しいマネタイズ手段としてブランド作りに興味を示す芸能事務所やインフルエンサー事務所からの問い合わせも増えてきているとのこと。当初はフォロワーが数万人規模の個人ブランドが中心だったが、これからはマスメディアなどに登場する芸能人がオリジナルブランドを作る際にpickiをパートナーに選ぶという例も出てくるかもしれない。

pickiではアパレル企業のデジタルシフトを支援する事業を5月から始めた

またpickiではインフルエンサーブランドの運用経験を活かして、アパレル企業のデジタルシフトを推進するサポートにも取り組む。これはアパレルの生産、SNSブランディング・動画制作・運用、データマーケティング、キャスティングを含めた販促企画など、オンラインでのブランド運営に関わる業務を一括してサポートするというものだ。

すでに卸売をメインにしていたメーカーなど数社のサポートを始めているが、引き続きコロナ禍で事業構造の変革を迫られた企業などのDXにも伴走していく方針。同時にブランドのM&Aなども視野に入れていくという。