約1年半の一人旅を終えた後、田邊氏はInstagramに投稿した写真に商品をタグ付けした専用ページを簡単に生成できるツール「ONE BUY ONE(ワンバイワン)」を開発。大手アパレル会社からツール導入の口頭受注をもらうなど、それなりの需要を見込んでいたが、インスタグラムが投稿画像から直接ECサイトで購入ができるショッピング機能「Shop Now(ショップナウ)」を日本でも導入したこともあり、事業の撤退を余儀なくされる。

思わぬ形で会社を畳むことなった田邊氏が、次なる挑戦としてスタートさせたのが“ブランドづくり”だった。彼はこのように語る。

「世界に通用するブランドをつくりたい思いは持っていました。例えば、自分はAesop(イソップ)のシャンプーで髪を洗ったり、BOSE(ボーズ)のヘッドホンつけて音楽を聴いたりすると、すごくテンションが上がるんです。こうした『嬉しい』や『楽しい』という気持ちはすごく価値だと思っていて。目には見えないけれど、エモーショナルな価値を創出できるブランドを自分もつくってみたいと思ったんです」

「新卒でサイバーエージェントに入社していながら、テック系にはあまり興味がなかったんです。手段としてテクノロジーはすごく便利ですし、世の中を推し進めるもので自分も享受を受けているので素晴らしいと思いますが、テクノロジーを軸にして走っていくイメージが明確に持てませんでした。リアルなものが好きだったんです」(田邊氏)

自分自身が“食事”が大好きだったこと、そして海外への一人旅で知った“予防医学”の考えから、身体と心のケアができる食のブランドを作ることを決める。

そんなタイミングで田邊氏は知人の紹介を通じて、創業期の投資・支援に特化したVC「Full Commit Partners」の山田優大氏と出会う。その頃、山田氏はD2C事業に挑戦する起業家を探しており、出会うや否やすぐに意気投合。田邊氏は山田氏と事業構想について話し合い、2019年5月にGreenspoonを創業し、6月にはシードラウンドで3990万円の資金調達を実施した。

「何の野菜を摂ればいいかわからない」を解決

とにかく自分が欲しいものを作ろう──そんな思いのもと、田邊氏が最初の商品として開発することに決めたのがパーソナルスムージーだった。

「スムージーを飲んでいれば野菜が摂れてる実感があったので、海外にいた頃からよくスムージーを飲んでいたことは大きく影響しています。それに加えて、周りの友達たちにスムージーを飲んでいる理由を聞いてみたら、9割くらいの人が『野菜の栄養素を摂りたいから』と言うんです。でも世の中には葉物を使用したグリーンスムージーしかない。野菜の栄養素を摂りたいなら、他の野菜(トマトやさつまいも、かぼちゃなど)を主役にした野菜ベースのスムージーがあってもいいと思ったんです」(田邊氏)