「コロナの影響でオフィスのあり方も変わってくる中で、移転やレイアウト変更の際に利用いただくことが増えてきています。一括でオフィス家具を揃えるとなると、最初に数百万円規模の費用がかかってくる。その費用を減らせて、定価を超えないなら使わない理由がないと言っていただくことも多いです。法人向けには無料のコーディネート提案からメンテナンスや処分までをまるっとサポートしているので、それも含めて評価いただけています」(町野氏)
個人については結婚や引越しなどライフスタイルの転換点で利用されるケースが中心。初期費用が安い上に定価を超えないという安心感があるため、気になっていたブランド家具をまずはサブスクで試してみて、気にいったらそのまま買うという使い方をするユーザーも一定数存在する。その観点では「返却可能な分割払い」という捉え方もできるかもしれない。
自社家具のサブスクで失敗、パートナー路線に切り替え好転
subsclifeは2016年11月に家具スタートアップ・KAMARQ HOLDINGSの子会社として設立(当時の社名はカマルクジャパン)。18年3月に家具のサブスクサービスのベータ版をローンチしている。
きっかけは町野氏が家具好きで、引越しをする際に目黒通りにある家具屋を約30店舗回ったこと。各店舗には質の高い家具が並んでいたが、店長に話を聞くと「なかなか儲からない」という話を聞き、家具の売り方に悩んでいることを知る。
もともと町野氏は2017年にアメリカのスタートアップイベントに登壇した際、現地でサブスクという概念が普及し始めていることを体感し、リアルなモノと組み合わせれば面白いビジネスになると感じていたそう。この2つの体験が重なり「サブスクと家具を組み合わせれば、質のいい家具を多くの人が手に取りやすい形で提供する仕組みを作れるかもしれない」というアイデアが生まれた。
ただ、初めから思った通りにはならなかった。ベータ版では自社家具を中心にサービスを提供するも一向にユーザーが増えない。そこで事業モデルを変更し、自社で家具を作るのではなく家具ブランドと組むことを決断。サービス名を現在のsubsclifeに変更し、2018年9月に正式にローンチした。
この意思決定がsubsclifeにとって大きな転換点となる。パートナーが増えて商品ラインナップが拡充したことに伴い、ユーザー数が増加し事業が軌道に乗り始めた。
大きかったのは、新品の家具のみを扱う形でサービスを設計していたことだ。通常のレンタルモデルだと、基本的に同じ家具を修理しながら何回も使ってもらうことで利益を積み上げる形になる。その場合、家具ブランドと競合しかねない。