「この2年は自分の独断でアイデアを試したり、予算を割り振ったりしてきたのですが、規模が拡大するにつれて、本当に自分のやり方が正しいかどうか不安になってきたんです。そろそろ一人での運営は限界が来ると思っていました」(入江氏)

また、サービス面でも課題が生じていた。利用者はMENTAを通じてスキルを学んだ後、そのスキルを生かせる仕事の機会が得られずにいた。

「やはり、学んだ後の出口として『仕事したい』ニーズは強くありました。MENTAでも仕事できる機会を提供できるようにしたいと考えていましたが、自分ひとりでは開発のリソースが足りず、実現するのが難しくなってしまいました」(入江氏)

2年間の運営で次第に“ひとりでの限界”を感じていた入江氏が数カ月前から考え始めたのが、規模の大きい会社と組むことだった。

「自分ひとりで運営を続けていくよりも、すでに成功している規模の大きい会社と組んで運営した方が安定的に人も増やせますし、開発スピードもあげらます。そっちの方が何よりもMENTAの利用者にとっても良いと思ったんです」(入江氏)

クライアントの課題解決から、個人の課題解決へ

一方のランサーズは、秋好氏によれば「この2〜3年ほどはクライアント側に課題があり、その解決に注力してきた」という。過去にライターのヨッピー氏が「Lancersの案件単価が低すぎる」と指摘していたことがあるように、低単価案件が問題視されていた。

「その問題に対して、私たちは適性ではない単価の案件は見せないようにしたほか、単発ではない定額の案件を増やしたり、法人向けに社外のフリーランス活用に特化したサービス『Lancers Enterprise』をリリースしたりして、単価を上げることに注力してきました」(秋好氏)

その結果、案件の平均単価は2倍になったほか、クライアントの数も伸びるなど、「この2〜3年でクライアントに価値提供ができるようになってきました」(秋好氏)という。

 

次にランサーズが取り組んだのが、“個人サイド”の課題解決だった。

「新型コロナウイルスの影響でLancersの会員登録者数は2倍近くに増えていますが、その多くがフリーランスや副業の初心者なんです。彼らはまだスキルが不足していることもあり、なかなか安定して仕事を獲得することができません」

「その一方で、スキルを持ったフリーランスの人たちはLancersでずっと仕事をしていると、別のサービスでも仕事を受けるようになり、Lancersの利用率が下がっていってしまうこと『解決すべき課題』だとずっと思っていました」(秋好氏)