「企業には、短期的には安いと感じてもらえて、かつ共感も得られています」(内田氏)

相互評価の結果をデータベースに蓄積して“線”でエンジニアを支援

エンジニアと企業の相互評価の結果はCode Climberのデータベースに蓄積され、フリーランスエンジニアと企業のマッチングに特化した評価データベース(DB)として活用されている。3000件の商談から定量的・定性的に情報を蓄積し、ミスマッチから需給ニーズを可視化することで、より適切な人材をより適切な企業へ紹介し、活躍を支援しようという仕組みだ。

「評価は『ミスマッチ』から始まります。『いつ、どこで、何が原因でミスマッチが起こるか』に注目して情報を蓄積し、企業・エンジニア間の情報にズレがある部分を可視化することで、各社の採用のベストプラクティスを構築していき、効率を上げています」(内田氏)

企業にはDBの情報からミスマッチの原因を分析して、ニーズの具体化や採用のムダ削減をアドバイスする。またエンジニアのキャリア支援では、それぞれが目標とする報酬に対して必要なレベルを、目標達成済みのエンジニアの経歴・評価DBを参照して把握し、成長に最適な案件を提案する。

「その時その時に必要なスキルといった“点”ではなく、我々は“線”でエンジニアを支援していきます」(内田氏)

大量提案・サポートなしの労働集約構造のエージェントと比較すると手間はかかるものの、詳細なヒアリングに基づいて少数でも高品質な提案と、企業・エンジニア双方への両面コンサルによる人材定着・契約長期化によって、企業・エンジニアの満足度は上がる。また、トータルでは案件数を短期でどんどんこなすモデルより、Code Climberの運営コストは下げることができる、と内田氏はいう。

Code Climberの運営モデル
Code Climberの運営モデル 画像提供:Value market

Code Climberの面談契約率は37%。他社であれば20%程度というケースが多い中で、高い契約率を確保できているという。また、2回連続での契約更新率は他社で50%のところが90%となっており、定着する割合も高い。これにより4倍近い生産性を確立できていると内田氏は説明する。

「生産性の向上は計算して実現したというより、理想の手数料率は15%だというところからスタートした結果。理想の手数料に向かってどう事業をつくっていくかを考える中でできあがったものです」(内田氏)

契約企業、契約数はスタートアップを中心とした口コミによる紹介で伸びているという。フリーランスエンジニアの紹介エージェントという領域での競合は多いが、企業との直接契約のみで手数料公開を実施するところは2〜3社にとどまる。「加えて、両面コンサルまで踏み込んでいるところはおそらくありません。手間は大変だけれども、マネはしづらいモデル」と内田氏は自信を見せる。