企業側も大量選考して契約を行うので、エージェントの稼働時間、人件費も膨らむ。だが実際にエージェントが対応するのは面接の日程調整だけ。そして、いざエンジニアが稼働するようになっても、3カ月に1回の面談以外にサポートが特にないため、継続契約にはつながらず、契約を終えたエンジニアはまた広告経由でエージェントに登録することになる。人材は常に不足しているので、早く紹介を、と質の向上よりもスピードを求められる。

また紹介手数料は原則非公開で、お金の情報がブラックボックス化されている。これがエージェントと企業・エンジニアとの情報の非対称性を生んでいる。企業はエンジニアがいくらお金をもらっているかを知らず、エンジニアも企業がいくら出しているかを知らない。このため、過請求・搾取構造が生まれ、企業の採用コストは高騰する。良い人材と適正価格で契約することができず、委託料を下げようとすると、エンジニアの手取りも減ってしまうため、「ブラック企業」との風評も受けかねない。

正確な報酬が把握できないため、企業は重要な判断材料が欠けた状態になり、人材の見極めがますます困難になるだけでなく、よりよい人材採用のためのPDCAも回せない。エージェントによる低スキル人材の押し込みにも、対処することができなくなってしまう。また、エージェントの契約後のフォローがないことから、各社で独自の定着支援策が必要となる。

これらの課題に対し、Value marketが2018年末からサービスを開始したのがCode Climber。スタートアップに特化したフリーランスエンジニア専門の採用支援サービスだ。

Code Climberでは、フリーランスエンジニアとValue marketによる準委任契約をベースに、企業との契約再委託を行うSES(システムエンジニアリングサービス)モデルを採用する。企業からの業務委託料から手数料を引いた金額がエンジニアの報酬になるのだが、この手数料率が15%と公開・可視化されているところが特徴となっている。

さらに企業・エンジニアが定期的な面談・相互評価に協力するなど、契約更新条件を達成すると最大5%にまで料率が下がる。手数料が減じた分は、エンジニアの報酬アップと企業の委託料減の形で両者に還元する。通常のエージェントでは固定で20〜30%の手数料が相場とされているため、価格優位性も大きい。

企業とエンジニアの相互評価は、契約後3カ月ごとに実施される。エンジニアとは1on1での面談も実施し、キャリア形成に関するコンサルティングを行う。また、企業の方にもエンジニア採用に関するコンサルティングを実施している。