PR TIMESではさまざまなメディアとアライアンスを組んできました。PR TIMESで配信したプレスリリースを転載していただくという取り組みです。

2015年くらいまでは、大手新聞社や通信社に転載されたプレスリリースを「○○というメディアに掲載されました」といってSNS共有する人は多かったように思います。これでは、場合によっては、あたかもメディアに取り上げられたかのように伝わってしまいます。あくまでも転載なので、それはおかしいのですが。

今では、多くの人がPR TIMESで配信されたプレスリリースそのものを共有しています。一方で、新聞社や通信社に転載されているプレスリリースも、異なる層に読まれるという意味で意義はあると思っています。

──PR TIMESに配信されているプレスリリースを転載するメディアも増えてきていて、メディアに溶け込んできている印象もあります。この状況をどのように見ていますか。

掲載するコンテンツを選択することには、メディアとしての大きな価値があると考えています。記者には、場合によっては1日に1000通以上ものプレスリリースが届きます。記者はその中から取り上げる情報を判断します。「取り上げると判断した情報が何か」というのは非常に重要です。

その判断こそが重要なのに、プレスリリースと同じ文章を人為的に書き直す必要があるのでしょうか。その書き直しのプロセスの省力化は、テクノロジーでできる範囲だと思っています。

「記者の判断の価値をより大きくする」というところにまだ解はありませんが、プレスリリースをいかにメディアにとって使いやすくしていくか、というところには、まだまだ進化の余地はあると思っています。

——PR TIMESの利用社数は4万3516社に到達し、上場企業の41.8%が利用しています(2020年8月末時点)。そんななかで、PR TIMESを悪用する(誹謗中傷に利用したり、法に触れる可能性のある企業が利用したりする)ような企業も​出てきました。プラットフォーマーとしての責任をどのように捉えていますか。

「責任を取る」のと「責任を持つ」のは違うと思っています。取り返しのつかない事態は、とり返しがつきません。責任を取り返そうとしても、そうはいきません。

PR TIMESが発信するプレスリリースは、発信する企業に責任があるとしても、私たちが審査をして、掲載していることに責任を持っています。それを免れることはできません。