スタートアップに限らず、「新しい製品を出します」という情報よりも、「不祥事や事故を起こした」という情報のほうが、注目度が高い状況です。PR TIMESとしても、まだまだ力不足ではありますし、メディアに対する情報提供でより貢献できることがあるのに、できていない側面もあるのではないかと思います。
ismもBRIDGEも、資本やリソースが不足していることが理由で媒体が伸びないのであれば、さまざまな形で協力したいと思っています。
かわら版の時代から現代まで、スキャンダルや、デマを含むコンテンツが注目を集めてしまう状況は変わっていません。でも、私たちには変えることができるのかもしれないと思っています。
PR TIMESは主語が「主観」です。PRの教科書的に言えば、主観は(読み手に)伝わらないというのが従来の考えでした。ですが今では、メディアでもプレスリリースでも、「主観だから伝わる」という考えも出てきました。
例えばメディアの署名記事があります。これはある意味では客観というより主観で伝わっているところもあるのではないでしょうか。「どこ(のメディア)」で書いているかではなく「誰」が書くか、が重要になっています。
PR TIMESに掲載されるリリースは企業が書いています。でも実は主観だから、(企業が)自分で語るからこそ伝わる、客観的な情報とは違う評価が出てきました。そういった動きが2010年から2011年くらいから起こっています。実はそれまで、PR TIMESのページビューは全然伸びていませんでした。
スマホ普及で加速したプレスリリースのSNSシェア
──最近ではメディアが書いた記事ではなくPR TIMESに掲載されたプレスリリースがSNSなどでシェアされるケースも見られます。こういった変化が起きたのはいつころでしょうか。
インターネットデバイスの主流がパソコンからスマートフォンに移行した頃です。この移行により、調べたいことを家や会社に帰ってから調べるのではなく、いつでもどこでもすぐに調べられるようになりました。
SNSはもともとプライベートで閉じた場でしたが、多くの人が社会に関する情報を共有し、意見する場になっていきました。SNSが大きく変わり、閉じたSNSでは登場の余地がなかったPR TIMESのプレスリリースも共有されるようになり始めました。(メディアの)ニュースとして取り上げられなくても共有され始めたというのは、大きな変化でした。
──特にスタートアップの起業家や広報担当者が、自社のプレスリリースをSNSでシェアするケースも増えました。