最適な印刷会社とのマッチングで低コスト・短納期を実現

発注側となるD2C・EC事業者から見たcanalはとてもシンプルなパッケージ発注サービスだ。

サイトにはダンボールや平袋、紙器など複数のパッケージ商品が並び、ユーザーは“EC感覚”で欲しいものを探していく。canalでは各商品ごとに注文数を入力すると見積もり料金がすぐに表示される仕様になっているので、納得できた場合には購入画面に進む。あとはデザインデータを入稿して発注すれば完了だ。

 
ECサイト感覚で欲しい梱包資材を決定。発注数や細かい要件を入力すると、その場で見積価格が表示される
ECサイト感覚で欲しい梱包資材を決定。発注数や細かい要件を入力すると、その場で見積価格が表示される

 

ここまでの説明では単なる「パッケージのECサイト」と思えるかもしれないが、canalの強みは印刷会社のネットワークを作っている点にある。ユーザーから発注が入ると、canalは提携会社の保有設備や得意領域、稼働状況などを把握した上で、発注者に適した工場に注文を繋ぐ。

加えてサービス上ですぐに見積もりを確認できる仕組みも大きい。従来であれば見積もりの依頼と確認、デザインの入稿などは各印刷会社と電話やFAXを使って調整せねばならず、実際に商品が手に届くまでに数ケ月かかるようなこともあった。

canalであれば受発注における一連のプロセスが即日で完了。平均20%のコストダウンも実現している。この使い勝手の良さからアパレル、健康食品、食品、アクセサリー、ペットフード、雑貨など350社以上のD2C・EC事業者が活用。提携印刷会社も約30社まで広がっている。

canalの構造。D2C事業者のパッケージに関連する課題を解決するスタートアップとしては米国のLumiなども有名だ
canalの構造。D2Cブランドのパッケージに関連する課題を解決するスタートアップとしては米国のLumiなど、海外でも複数のプレイヤーが存在する

カギは「工場のネックワーク化と受発注プロセスのオンライン化」

通常、事業者がパッケージの発注先を探す際は他社からの紹介か自力で調べるか、どちらかの方法が取られる。

たとえば商品のOEM先や知り合いに工場を紹介してもらえる場合には時間を短縮できるが、当然“その工場が対応できる範囲の中で”という制約が発生する。箱のサイズやデザインなどこだわりを突き詰めると、結果的に自分自身でオーダーに応えてくれる工場を探さざるを得ないことも多い。

ただそこには膨大な探索コストに加え、交渉や監督のコストがかかる。それを「工場のネットワーク化と受発注プロセスのオンライン化」によって解決しようというのがcanalのアイデアだ。

「canalが実現しているのは、パッケージの受発注における取引コストと価格コストの削減です。そもそも、自社が求めるパッケージを制作できる工場を探すのはものすごく大変。話を聞いてくれる工場が見つかっても、情報の非対称性が大きくどのように交渉すればいいのかがわからない人も多いのです。仮に条件が折り合えば、今度は実際に現物ができるまで監督するコストもかかる。canalを単なるマッチングサービスにしなかったのは一連の負担が大きく、一気通貫でサポートできないと発注者にとっては意味がないと考えたからです」(re代表取締役の福村圭祐氏)