canalを活用することが取引コストと価格コストの削減に繋がるのは、既存のパッケージ印刷業界の構造も大きく影響している。

福村氏の話ではパッケージ印刷業界は多重下請け構造になっていて、多い場合には6次・7次下請けまで及ぶ場合もあるそう。パッケージを発注した印刷会社が「ロットや自社工場の設備を踏まえてさらに別の印刷会社に依頼する」ことも珍しくなく、各印刷会社ごとにマージンを上乗せしているため、末端価格が30%以上高くなることもある。

canalは発注者はもちろん、生産者側となる印刷会社の課題解決にも貢献している
canalは発注者はもちろん、生産者側となる印刷会社の課題解決にも貢献している

canalは最適な印刷会社に直接発注することで、余計なマージンを取り除く。同時に発注内容を基に“得意な印刷会社”とマッチングすることで、無駄な時間やコストを生まない。上述したとおり、印刷会社とのやりとりもオンライン化されているため、スピーディーに進む。

この仕組みによって、高品質なオリジナルパッケージを低コスト・短期間で制作できるのが同サービスの特徴だ。

D2C事業者のパッケージ制作を後押し、新機能や新サービスも計画

canalを運営するreのメンバー。中央が代表取締役の福村圭祐氏
canalを運営するreのメンバー。中央が代表取締役の福村圭祐氏

3月のローンチ以降、canalでは「BASE」や「カラーミーショップ」、「futureshop」など各ECプラットフォームと積極的にサービス提携を実施。並行して画像をアップロードするだけで簡単にオリジナルパッケージをデザインできる「オンラインカンタン入稿」など、機能拡張も進めながら事業を拡大してきた。

当初メインターゲットとして考えていたのは個人や小規模なEC事業者たち。ただ実際にサービスを提供してみると「(個人の事業者には)商品を送ったり、守ったりするためのものとしてパッケージを必要としている人が多い」ことがわかった。

単純に機能面や安さだけを追い求めるなら、Amazonや他の通販サイトでも一般的な梱包資材を調達できる。そうではなく、D2Cブランドのようにオリジナルのパッケージにこだわりを持ちながらも、既存の方法に大きな課題を感じている事業者にこそcanalは必要とされるのではないか──。そのように考え、サービスの方向性も少しずつ変えてきた。

D2C事業者をメインターゲットにしたことで、平均の案件単価もローンチ直後に比べると10倍ほどに増えたという。今では月に数万点の商品をcanal上で発注しているような顧客もいる。

reでは今後発注体験をさらに便利にするような機能追加のほか、現在は人力で対応している部分も多い「裏側のオペレーションの自動化」などを進めていく計画。パッケージの受発注と関連する新サービスの開発なども見据えている。