Carelyは時代とともに企業から高いニーズを受けている。2019年3月期は昨年比で売上2倍に成長し、その翌年も同じ成長率を達成した。2020年12月現在で、契約者数350社、契約アカウント数が13万件にまで利用が拡大している。これには働き方改革の時流にプラスして、コロナ禍が後押しをしている側面もあるようだ。

「これまで紙で従業員の健康管理を運用していた企業からの問い合わせはたしかにコロナ禍で増えました。紙のままでは、産業看護職のスタッフが自宅で勤務となったときに、情報を見ることができなくなりますから。コロナ禍ではメリットもデメリットもあって、SaaSへの関心が高まったことで問い合わせ件数は過去最高となる一方で、企業の財務体質悪化や見直しによって、新規契約の意思決定までの時間は全体としては長くなりました。それでもリード数や受注数は加速しています」(山田氏)

Carelyの蓄積データ活用で健康経営のDXを推進

今回の調達資金15億円のうち、6億円は既存株主からの追加出資によるものだ。「仲間が実績を作ったこと、投資家の支援やクライアントの評価があってのことで、ありがたい」と山田氏。資金の使途については「プロダクト開発は永遠に続けていくことだが、加えてセールスやマーケティングにも投資し、しっかり効率よく、必要な顧客へリーチして、受注するための力を付ける」と説明する。またカスタマーサクセスやコーポレート部門への投資にも注力する予定だ。

iCAREのメンバー
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長期的には「健康経営のDX推進」「海外展開」「BtoCサービス展開」についても、5年後ぐらいをめどに視野に入れていると山田氏は語る。

健康経営のDX推進については、Carely提供により蓄積したデータを活用した分析によって、課題を可視化し、最適なサービスを提案するというもの。同社が今年9月10日にリリースした健康経営プラットフォーム「Carely Place(ケアリィプレイス)」は、その第一歩となるサービスだ。

海外展開については、東南アジアや米国、ヨーロッパなど、日本と法整備が似通っている国々への展開を検討しているという。

「健康経営は日本だけの課題ではなく、世界中で労働者が健康を害しているわけですから、そうした国々へもサービスを提供していきたいと考えています」(山田氏)

また、BtoCサービスに関しては、これまでの法人向けサービス展開に加えて、健康を個人にひも付けることで、サービスをより良いものへアップデートさせていくことに挑戦していくつもりとのこと。