東芝Photo:SANKEI

東芝は12月20日に株式上場を廃止する予定だ。かつてわが国を代表する超名門企業だった東芝は、確かに世界トップレベルの製造技術を持っていた。しかしなぜ、自力での事業運営に行き詰まったのだろうか。そして今後の東芝は、どのように再建するのだろうか。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)

東芝が12月20日に上場廃止へ

 11月22日、東芝は臨時の株主総会を開き、株式非公開化に向けた株式併合などの議案が承認された。賛成割合は96.81%だった。12月20日に東京証券取引所への株式上場が廃止される予定だ。投資ファンドである日本産業パートナーズ(JIP)、出資した20を超える企業の下、東芝は本格的に再建を目指すことになる。

 かつてわが国を代表する超名門企業だった東芝。なぜ、自力での事業運営に行き詰まったのだろうか。東芝は確かに、世界トップレベルの製造技術を持っていた。また、世界で初めてノート(ラップトップ)型のパソコンを開発した実績もある。

 いろいろな出来事を突き詰めると結局、東芝の経営陣は、大切な経営資源(ヒト・モノ・カネ)を有効に生かすことができなかった。収益獲得を過度に重視した結果、無理を重ね、ついには不正会計にまで手を染めた。それでも東芝は上場維持にこだわり、第三者割当増資を実施した。その後、物言う株主(アクティビスト・ファンド)に翻弄(ほんろう)され続けた。

 今後の東芝は、どのように再建するのだろうか。まずは、収益の柱を見つけることが重要だ。経営資源を、人工知能、脱炭素、半導体など成長期待の高い分野に再配分することも不可欠だ。成長戦略の実行が遅れれば、投資ファンドであるJIPと東芝経営陣の間に不協和音が生じ、再び経営が迷走することも懸念される。