金融機関や自治体からの書類、郵便物、クーポン、子どもが持ち帰るプリント類……。忙しく暮らしていると、気が付けば「紙」が、たまっていませんか?「紙」はとりあえず取っておくと、「肝心な時に出てこない」「いつの間にか期限が切れていた」「大事な書類を失くして、お金や信頼を失くす」などの悲劇が起こります。実は、人生により大きな影響を与えるのは「モノ」よりも「紙」の片づけなのです。「紙」に特化した片づけ方法を書き、話題を呼んでいる片づけアドバイザー・石阪京子先生の最新刊「人生が変わる 紙片づけ!」から、「紙片づけ」の極意を抜粋して、ご紹介します。

「いつも時間がない人」の家に溢れているもの・ワースト1写真:著者提供

「紙片づけ」ができると時間が浮く

 いつも時間に追われていたり、いつも忙しいと言っている人は家が片づいていないことが多いです。中でも溢れていることが多いのが「紙」。

 大事そうだからと取っておいたはずの書類が、結局まぎれてしまって探すのに手間取る。今見つからないからと後回しにしていたら、期限が切れて再発行してもらうハメになる。すぐに取り出して処理していれば、あっという間に終わったことが、2度手間3度手間になることが多く時間が無駄になるのです。

 逆に紙が片づいていると、あらゆる時間が浮いてきます。

 片づけにかかる時間、モノを探す時間、掃除にかかる時間、買い物する時間、料理する時間、銀行に行く時間、行動を起こすまでの時間……など。
本書で紹介していることを、すべて取り入れていただいたら、1日3時間は浮いてくるのではないでしょうか。

 片づけにかかる時間は、もちろん減ります。紙の行き場が決まっているので、ルール通りに手を動かすだけ。どこに置くか迷う時間は生じません。
探す時間もなくなります。コクヨが2017年に、有職者1031人を対象に行った調査によると、1日のうちに書類を探す時間は約20分だそうです。ただし、これは仕事中を対象にした調査のようなので、家の中で探す時間も加えると、もっと多いでしょう。

 本書のメソッドでホームファイリングをして、置き場所がわかっていれば、このような探す時間は生まれません。
紙の山をどかしたり、溜まったホコリをはたいたりする掃除の時間もほぼなくなります。データ化、ネット化あるいは、アプリを活用することで、買い物や料理、銀行に行く時間なども大幅にカットできます。

 また、暮らしがスムーズに回っているおかげで、フットワークも軽くなり、どうしようかなと迷う時間もなくなります。

紙片づけをすると、余裕が生まれる

 私がなぜ、紙を片づけているのかというと、自分の時間と頭の中を空けるためです。
私は2年前から、毎朝ジョギングを20分しています。仕事もありがたいことに、ブログを書いたり、トークイベントの準備をしたり、生徒さんたちと常時LINEでやりとりしたり、こうして書籍も作ったり、色々なことをさせていただいています。もちろん家事もしていますし、母の介護もありました。でも、「先生って、めちゃくちゃいろんなことをしてるのに、そんなに忙しそうに見えないですよね」と言われます。

 それもこれも全部、家が片づいているおかげです。書類はシステム化されているので、夫婦で共有しています。いつ、どんな紙が届くかもわかっているから、紙の都合に振り回されて、慌てて支払いに行くこともありません。その都度、頭を使う必要はなく、体を動かすだけ。だから、時間も頭の中も余裕が生まれるのです。

「時間」の枠を意識することで、時間を無駄にしなくなる

 また、実は片づけをすると、時間を大切にするようにもなります。私の片づけメソッドでは「枠」を大事にしているとお伝えしましたが、その枠は、時間にも当てはまります。
 時間は有限です。子どもたちと食卓を囲める時間、親の笑顔を見られる時間、旦那様と過ごす時間、元気に体を動かせる時間など、どれも限りがある人生の大切な時間です。
 どうか皆さんも、限りある時間を大切になさってください。片づけを通して、枠の意識が芽生えると、時間という枠も意識できるようになります。枠の意識がないと、行動が先延ばしになったり、だらだら過ごしてしまったりしますが、意識があれば、時間は限りあるものだとわかります。そして、時間の無駄遣いがなくなります。

 *本記事は、石阪京子著「人生が変わる 紙片づけ!」の中から、抜粋・編集したものです。