変化が激しく先行き不透明の時代には、私たち一人ひとりの働き方にもバージョンアップが求められる。必要なのは、答えのない時代に素早く成果を出す仕事のやり方。それがアジャイル仕事術である。『超速で成果を出す アジャイル仕事術』(ダイヤモンド社)は、経営共創基盤グループ会長 冨山和彦氏、『地頭力を鍛える』著者 細谷 功氏の2人がW推薦する注目の書。著者は、経営共創基盤(IGPI)共同経営者(パートナー)でIGPIシンガポール取締役CEOを務める坂田幸樹氏。業界という壁がこわれ、ルーチン業務が減り、プロジェクト単位の仕事が圧倒的に増えていくこれからの時代。組織に依存するのではなく、私たち一人ひとりが自立(自律)した真のプロフェッショナルになることが求められる。本連載の特別編として書下ろしの記事をお届けする。

「若くして老け込む人」と「いつまでも若々しい人」のたった1つの話し方の違いとはPhoto: Adobe Stock

老け込むスピードは、人それぞれ

 皆さんの周りには、いつまでも若々しい人たちはいませんか。

 何歳になっても新しいことに興味を持ってチャレンジしている人たちは、周囲に対してもポジティブな影響を与えます。

 一方、年齢は若いのに、後ろ向きなことばかり考えて老け込んでしまっている人たちがいるのも事実です。このような人たちは周囲に対してネガティブな影響を与えていることでしょう。

いつまでも若々しい人は、未来志向

 私の周りにも、還暦を過ぎても常に新しいアイデアを考えてチャレンジしている人たちがたくさんいます。この人たちの特徴として挙げられるのは、常に会話が未来志向だということです。

「将来はこう変わっていくだろう」「次に流行するのはこのような技術だろう」「自分はこういう新しいビジネスを考えている」といった意見を聞くことは、こちらにとっても大変励みになります。

 それに対して、若いのに老け込んでいる人たちは「最近の学生は昔と違って扱いづらい」「政府がしっかりしていないから古き良き日本が失われた」などと過去のことばかり話しています。

常に10年後を見据えて構想する

 私の大学時代の恩師に言われたことで、強く印象に残っている言葉があります。

「大学教授として長く活躍するには、自分のやりたい研究をしていてはダメだ。長く活躍するには、時代のニーズに合わせて研究テーマを変えて、世の中に発信していかないといけない」

 その言葉のとおり、70歳を過ぎた今でも現役の研究者として変化しながら活躍し続ける恩師には頭が下がります。

 私たちは過去を変えることはできませんが、未来を変えることはできます。常に10年後を見据えて構想していけば、新しいアイデアがたくさん浮かんでくるでしょう。過去に失ったものではなく、これから新たに得るものについて考えるようにしましょう。

「アジャイル仕事術」では、未来を構想するための具体的な方法以外にも、働き方をバージョンアップするための技術をたくさん紹介しています。

坂田幸樹(さかた・こうき)
株式会社経営共創基盤(IGPI)共同経営者(パートナー)、IGPIシンガポール取締役CEO
早稲田大学政治経済学部卒、IEビジネススクール経営学修士(MBA)
大学卒業後、キャップジェミニ・アーンスト&ヤングに入社。その後、日本コカ・コーラ、リヴァンプなどを経て、経営共創基盤(IGPI)に入社。現在はシンガポールを拠点として日本企業や現地企業、政府機関向けのプロジェクトに従事。細谷功氏との共著書に『構想力が劇的に高まる アーキテクト思考』(ダイヤモンド社)がある。『超速で成果を出す アジャイル仕事術』(ダイヤモンド社)が初の単著。