採用で出現する偽物6タイプ

<偽物:その1>
成功物語を誇張して語る人

 実際よりもはるかに大きな成功をしたかのような物語を語るのがこのタイプだ。または、自分の貢献を実際よりも大きいものとして語る。彼らの話はしばしば誇張されており、自身の能力や成果を過大評価することで他人の尊敬を得ようとする。問題は、彼らが自分の作ったホラ話を誇張した物語を本当に自分でやったことのように、あるいは本当にすごいことをやってのけたかのように信じ込む能力が高いことにある。その本人の思い込みの強さゆえに、説得力があるように見えてしまうのである。気をつけておかないと、こういう人にはコロッとだまされる。

<偽物:その2>
知識や経験を誇張する人

 こういう人は、自分の知識や経験が実際よりも深いかのように振る舞う。自己の専門性や能力を誇示することで、権威や信頼を不当に得ようとする。何かを説明する際に、別に引用しなくても良いのに、あえて学説や理論を引き合いに出して、自分の考えや経験の正当性を補強する人などがこれに当たる。賢そうに見えるので採用してしまうのだ。

<偽物:その3>
失敗の理由を外的要因に転嫁する人

 本質的な意味で、自分の間違いを認めず、常に他人や外的な要因のせいにする人がいる。このような行動は、自己の責任を回避し、完璧であるように見せかけるためのものである。言葉としては、「自分たちが反省すべきことは多々あります」と言って始めながら、外的環境や組織力学の複雑性などに失敗の原因を巧みに転嫁する。聞く人は、失敗は必然的なものであったかのように錯覚してしまう。

<偽物:その4>
自己犠牲を強調する

 このタイプは、自分が組織のためにいかに多くを犠牲にしたかを巧みに強調する。しかし、実際には彼らの行動は真の自己犠牲ではなく、他人からの注目や同情を引き出すことが目的である。本物の縁の下の力持ちは、縁の下にいることを強調することはない。ただ、こういう人の言動に慣れていないと、真のチームプレーヤーのような気がして、つい採用してしまう。

<偽物:その5>
他人への影響力を誇示する人

 このタイプは、自分が持つ影響力を誇示し、自分を大きく見せようとする。会社の欲している領域に対して自分の影響力が及ぶかのように話をする。どこそこには顔が利く、有力者との太いパイプがあるなどである。これは良いカードになると思って採用したところ、実際には相手側にはまるで通用しなかったりすることが多く、がっかりさせられる。

<偽物:その6>
最新のトレンドに敏感であるフリをする人

 常に最新の流行やトレンドに敏感であるかのように振る舞うが、実際には深い理解や関心を持っていない人である。いかにも仕事ができるふうなのだが、知見もなく、流行に流されているだけである。別名、「出羽守(でわのかみ)」である。

 以上、紹介した6タイプの「偽物」は、それぞれ自己中心的で表面的な行動パターンを示している。彼らは外面的なイメージや他人の評価を重視し、本質よりも見た目を優先する傾向にある。

 本物であるための必要条件は、外部の見せ方と内部の実態が一貫性を持っていることであり、それを満たさない上記のようなタイプは、偽物と認定して差し支えないだろう。採用する側が何度か失敗して経験則を得れば、これらの真贋を見抜くことはさして難しくはない。