採用において、人の真贋をどう判断するべきか

 では、最終的にどう真贋を判断するのか。特効薬がなくて申し訳ないが、何のことはない、最後は、第六感に頼るしかないのである。

 偽物の持つ“うそくささ”、大きく見せようとする“狡猾さ”、謙虚そうに見せかける“したたかさ”をかぎ取り、何を言っているかだけでなく、その“語り口”“しぐさ”“目の動き”“声のトーン”から「どうも偽物っぽい」と勘が働くようになるためには、本物にも偽物にもたくさん会い、入社後も追跡して情報を集め、多数の成功体験と失敗経験を積まなくてはならない。

 紹介した先に採用されるか否かだけの点でしか人を見ていない人材紹介コンサルタントではなく、入社後の期待値と実態のギャップをしっかりと把握しようとする社内の採用担当者と熟達した真のコンサルタントだけがこういう第六感を獲得できる。

 このような人の「何も問題はないはずなんですけども、なんか気になるんですよね……」という感覚はだいたい当たる。

 ただ、少なくとも前述のような偽物パターンがあると知っておくだけでも、何も知らずに偽物に行き当たるよりは、多少はだまされる確率を下げられるのではないかと思う。

 もちろん、偏見や公平性を欠く予見は慎まねばならないが、こうした人は案外疑いの目を持って見てみると、わかりやすくパターンをなぞっているだけの場合があるからだ。人材採用担当者の方々の健闘を祈る。

(プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役 秋山 進、構成/ライター 奥田由意)