結果としてネットスーパーに取り組んでいるところでも、実店舗のようなスムーズな買い物体験をオンライン上で提供できず、ユーザー獲得に苦戦するケースが多かった。新型コロナウイルスの影響もありネットスーパーの需要は高まりつつあるも、まだまだ供給側の準備が追いついていない状況だ。
10Xではそんなスーパーのデジタル化における課題をワンストップで解決できる仕組みを通じて、食品流通市場を大きく変えようとしている。
“ノーコード”でネットスーパーを立ち上げ
Stailerは小売・流通事業者がノーコードでネットスーパーを立ち上げられるサービスだ。
事業者側で必要なのは既存の商品データを連携させるだけ。基盤となるEC基幹システム、数万単位のSKUを日替わりで管理できる商品・在庫マスタシステム、ユーザーに快適な買い物体験を提供するモバイルアプリ、効率的なピッキング・配送を実現するオペレーションシステムなど、ネットスーパーの運営に必要な機能はすべてStailerに搭載されている。ユーザーからの問い合わせ対応や、データ分析用のダッシュボードの提供も含めてだ。
ネットスーパーと実店舗では必要なシステムが全く異なるので、ネットスーパーを作るには専用のシステムとサプライチェーンを構築しなければならない。従来はそれを作り上げるのに複数のシステムベンダーが関与し、構造が複雑化してしまうケースが多かった。
結果として初期費用がかさむだけでなく、システム設計自体も複雑になり運用コストも膨れ上がる。何か1つを改善するにしても半年・数千万円単位の時間とコストがかかり、身動きも取りづらい。この「アジリティ(敏捷性、スピード感)の低さ」こそが大きな課題になってきたと矢本氏は話す。
Stailerの場合は必要な機能をフルセットで提供するため、柔軟かつ高速でアップデートできるのが特徴。初期費用をなくし、月額利用料と売上に連動した従量課金制を採用することで利用のハードルも下げた。また表側のモバイルアプリやそれを支えるECシステムだけでなく、事業者のボトルネックになりうる「物流」も含めて効率的に運用できる仕組みを整えた。
具体的にはラストワンマイル配送事業を手掛けるココネットと提携。最も配送効率の良い配送員が店舗で商品のピッキング・パッキングを行った後、ユーザーの自宅まで配送するモデルを開発した。配送員の選定や配送ルートの作成は、全て自動で最適化される。
「単月利益1000万ドル」の会社も生まれるスーパーのDX市場
海外を見ると、スーパーのオンライン化が進むイギリスや韓国、そしてコロナ禍でこの流れが一気に加速したアメリカなどはSCMや配送の部分に関して日本の先を行く。