100万件以上の評価データで満足度を上げる

 収集したデータは、取り扱うお菓子の見直しにも活用されている。ラインナップ全体のうち約2割は、毎月新しいラインアップと入れ替えている。

「これまでに集めたお菓子ごとの評価データは、すでに100万件以上。ひとつのお菓子について300件くらいの評価が集まると評価が収束して、今後の扱いが決まります。おつまみ系のお菓子などは『全体での評価は高くないが、一部のユーザーが非常に気に入っている』ということがあります。そういったお菓子はリクエスト専用にするなどして、ユーザーをがっかりさせないように工夫しています。こうした声がユーザーから十分に集まるので、最近は社内での試食会もそれほど重視していないくらいです」(服部氏)

 またスナックミーでは、一部賞味期限の近いお菓子を社内販売しているが、商品を廃棄することはほとんどないという。サブスクリプションのおかげで、事前に出荷量を予測できるからだ。

「かさばりやすく、売価も高くない自然素材のお菓子は、これまでECには向いていないといわれてきました。特にSnaq.meは保存料を使わないため、在庫リスクの解決は重要です。賞味期限の近い商品をユーザーに送ることもできますが、それでは満足度が下がってしまいます」

「そんな課題を解決したのがSnaq.meのモデルです。サブスクリプションで(受注数が見えるので)ムダな在庫を抱えず、データを活用することで商品ラインナップを素早く更新し、ユーザーの満足度を保つことができています」(服部氏)

ユーザーの「贅沢な時間」を支えるサービスに

 スナックミーの成長を後押しするもう一つの要因が、ユーザーコミュニティの構築だ。これまで同社はほとんど広告を打っていない。インスタグラムをメインとしたSNS上の口コミによって、知名度を高めてきたのだという。

 ボックスやお菓子のパッケージに、ついつい写真を撮りたくなるようなおしゃれなデザインを採用。SNSへの投稿を促しているほか、ユーザーのSNS投稿や新しいお菓子のラインナップ、OEM先のメーカー紹介などを掲載したオリジナル冊子を同封。年に数回はオフラインイベントも開催し、ユーザー同士がリアルで交流する機会を提供している。

「お菓子を届けるだけではありません。SNSに綺麗な写真を投稿したりして、贅沢な時間を味わってもらうまでがSnaq.meです。その意味で我々の競合は、スターバックスなどの『贅沢な時間』を提供するサービス全般だと捉えています」(服部氏)