これは1891年6月以降の建築確認から適用されているものだが、実際に居住支援法人格を取得するとなると、木造建築の場合、2000年6月以降の「建築確認済証」があればなおよしというのが、官並びに現在、居住支援法人格を取得した関係者たちの一致した言だ。
平たく言えば、親族から古い家を相続した。空き家のまま置いておくのも忍びない。だからエクストリーム層に貸し出し、家賃収入を得る……といった程度の心構えでは、居住支援法人格を取得できないというわけである。
加えて、この居住支援法人格には、大家は入居者に、文字通り「支援」が求められている。これは入居中なら日々の安否確認、生活相談やトラブル発生時の駆けつけ、就労支援、生活指導といった類だ。
入居者が死亡したとなれば、通夜に葬儀、納骨または埋葬はもちろん、電気・ガスといった生活インフラの停止手続き、病院への支払い、自宅の片づけまで求められている。
さすがに、ここまで求められると、とても副業として行えるようなものではないだろう。
現状では、俺のような築古ボロ家にエクストリーム層を入居させ家賃をいただく業を行っていても、行政だの当局だのから取り締まられることはないが、そう遠くない将来、法律の網に掛けられるのではないかと思っている。
官の取り締まりで表面化する
エクストリーム層の新たな住居問題
低所得、外国人、元受刑者――これらエクストリーム層に属する人たちは犯罪に近いところで生きていると言えよう。そうした者たちに家を貸す大家、エクストリーム大家についても、行政が目を光らせたいであろうことは、5年間、本格的にエクストリーム大家をやってきた俺の経験からもよくわかるからだ。
だが、あまりにも官による監視が著しくなると、かえってエクストリーム層が水面下で行動するようになり、家を借りずにホームレス化するのではないだろうか。そうすると余計に社会の治安は不安定になる。
そもそもエクストリーム層に属する人たちの多くは、法やモラルに縛られることを嫌う傾向がある人たちだ。行政による丁寧な施策がかえって仇になりやしないか。一エクストリーム大家としては、そこがとても心配だ。
(ノンフィクション・ライター 春川 賢太郎)