「家族や友人が病んでいるとき、どう声を掛ければいいのでしょうか」
そう語るのは、これまでネット上で若者を中心に1万人以上の悩みを解決してきた精神科医・いっちー氏だ。「モヤモヤがなくなった」「イライラの対処法がわかった」など、感情のコントロール方法をまとめた『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』では、どうすればめんどくさい自分を変えられるかを詳しく説明している。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、考え方次第でラクになれる方法を解説する。(構成/種岡 健)
他人の心への支援
あなたの周りに、精神的に病んでいる人はいますでしょうか。
もしかすると、どのように声を掛ければよいか、悩んでいるかもしれません。
家族や友人であれば、なおさら放って置けない気持ちがあるでしょう。
では、どのように支援すればよいのでしょうか。
解決よりも大事なこと
ここで大事なのは、声をかける内容よりも「寄り添う気持ちを示してできるだけ孤独にしない」ということです。
どれだけ普段は元気な人でも、ときには落ち込むことはあります。
そんなときは、自分を責めてしまったり、周りに迷惑をかけていると感じて羞恥心を感じてしまいます。
そんな悲観的な状態になると、どうしても孤独になろうとするものです。
しかし、元々ひとりでいることが苦手な人が孤独になると、余計に悲観的になってしまうんですね。
そんな気持ちが続いてしまい、復調してこないで落ち込んだままでいる時間が長すぎる場合には、
「少し話を聞こうか?」
という声がけをしましょう。
もともと感情を表に出すタイプでなければ、周りからいろいろなことを言われて混乱したり、不安定になってしまう場合もあるかもしれません。
それでも「一人ではない」という安心感はなにより大切な支援になります。
具体的なアドバイスや解決ができなくてもよいので、できるだけ近くにいてあげましょう。
「依存」ではない関係性を築こう
また、あなたがよかれと思っておこなうことでも、受け取る人によっては「支援」にも、そして「依存」のきっかけにもなり得ます。
あなたの言葉によって相手が傷ついたり、拒絶されたと感じたとしても、それがすべてあなたの言葉が原因とは言えません。
あなたがすべての責任を感じる必要はないのです。
家族や友人が言葉に敏感で、あなたに見放されたくないから過剰に反応をすることもあるかもしれません。
もしかすると、とにかく感情をぶつける相手を探しているときもあるでしょう。
大切なのは、相手を支援していくときには、距離感を見誤らないようにして、あなた自身の生活やペースを守りながら付き合っていくことです。
まずはご自身を守ることを大切にし、あなたにできる範囲での支援ができればいい、そう考えてみてはいかがでしょうか。
(本稿は、『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』の著者・精神科医いっちー氏が特別に書き下ろしたものです。)
精神科医いっちー
本名:一林大基(いちばやし・たいき)
世界初のバーチャル精神科医として活動する精神科医。
1987年生まれ。昭和大学附属烏山病院精神科救急病棟にて勤務、論文を多数執筆する。SNSで情報発信をおこないながら「質問箱」にて1万件を超える質問に答え、総フォロワー数は6万人を超える。「少し病んでいるけれど誰にも相談できない」という悩みをメインに、特にSNSをよく利用する多感な時期の10~20代の若者への情報発信と支援をおこなうことで、多くの反響を得ている。「AERA」への取材に協力やNHKの番組出演などもある。