日本を含めて民主主義の下では、国民が政治家の決定に影響を与えることができる。しかし、政治家の決定がいつも国民の意向を反映していると感じる人は少ないだろう。
日本政治の腐敗を感じるのは今回の裏金キックバック問題だけではない。「ブライダルまさこ」と大炎上した自民党の森まさこ議員がぶち上げた、「少子化・インバウンド対策」だという「外国人が日本で挙げる結婚式の補助金」。過疎地域にそびえる立派過ぎる役所。前述のエッフェル姉さんご一行による自民党女性局の自称「研修旅行」など…。国民の目が届く範囲だけでもこれだけの腐敗が進んでいるのだから、国会議員全体ではどれぐらいの規模になるのか想像もつかない。
政治とカネを巡る問題が常に起き続けている現状を見ると、やはり権力は腐るものなのだなあと感じざるを得ない。では、どうすれば、抜本的な改革ができるだろうか。
政治資金の透明性を高めても
「全くダメ」な理由とは?
いま、日本では「政治資金の透明性を高めよ」という議論が沸騰している。そこで先行研究を調べてみると、透明性を高めるだけでは全くダメだという結論にぶち当たった。
今回は、2018年に学術雑誌「Journal of Public Economic Theory」に掲載された「透明性は政治腐敗を減らすか?(Does transparency reduce political corruption?)」をひもといてみよう。この論文は発表後、すでに19以上の学術論文に引用されている。政治腐敗研究では有名な論文だ。
内容を簡単にいえば、以下の通りだ。
透明性を高めることが政治腐敗を減らす解決策だとよく言われている。しかし、この論文はそれに異議を唱えている。「たしかに透明性を高めることで腐敗は減少するかもしれないが、実際には腐敗に使われる賄賂の金額が増える可能性があるということ」だという。